花の情報局

正月花を簡単に生けるヒント

※普段は花バサミを持つことも無いような、まったくの素人さん向けの記事です。花の経験者さんには不要の記事ですので飛ばしてください
※正月花を生けるときに、何から手を付けていいか分からない方は、どうぞご参考に

この記事では、いたずらに正月花を難しくする原因は、どんどん省いていけばいい、ということをお伝えしようと思います。

 

目次 正月花を簡単に生けるヒント

  1. 剣山がイヤなら使わなければいい!
  2. 正月花は、ノープランで生け始めてよし!
  3. 安易に生けて悪いことなど無い!

剣山がイヤなら使わなければいい!

正月花を生けるために、年に一回しか使わない剣山を出してきて使おうという人、結構多いです。
当サイトでは、剣山に簡単に松を刺す方法の記事などがいくつかあり(参考:剣山の使い方 枝を剣山に刺すときには)、いずれの記も、暮れの頃にはアクセス数が跳ね上がります。

当サイトで紹介している剣山関連記事を見て、うまく生けていただくのも方法の一つですが、剣山には生けないというのも立派な方法だと思います。
そもそも、なぜ普段は使わない剣山を、正月花に限って使おうとするのでしょうか? 使わねばならない決まりなど、どこにも無いというのに。

家にある花器が水盤だけ、という場合、それはやはり剣山が無いと難しいです(ちなみに、玄人は剣山無しで水盤に枝を立てられます。この記事には関係ないことですけど)。しかし、水盤のほかに花瓶の類があるなら、「どうしても水盤と剣山を使わないといけない」と思う必要はありません。
剣山に、私は生けたいんだ、という人は、もちろん剣山を使えば良くて、それをやめろと言っているのではありません。花瓶という、もう一つのステキな選択肢があるのに、好きでもない剣山生けをしようとして苦労している人・困っている人に提案したいのです。
剣山を使わず、より楽に生けられる方法があるなら、そちらを選べばいいではないですか、と。

特にこれを言いたいのは、
「剣山に生けるほうが立派で本格的」
「剣山に生けないと、格好がつかないのでは?」
と思っている人たちです。
そんなのは、幻想です! 現に、私はいけばな師範ですが、自分のお弟子さんたちに見せる正月花や、草月流本部の講座で生ける正月花で、剣山を使うことはむしろ少ないです。ここ数年で、このサイトにアップした「正月花の実例」の画像も、ほとんど剣山を使ったものはありません(例:松と千両の正月花 大王松の正月花 小さくシンプルな正月花

「剣山を使ったほうが、より正月花らしくなる」と思うのは間違いです。正月と剣山に、何の因果関係もありません。もしも、剣山に生けることをとても難しいと感じるなら、剣山を封印しても良いではありませんか(いけばなの勉強をしている人は、簡単に剣山を捨てたりしてはダメですよ)。
ただし、剣山は、花を生ける便利ツールの一つではあるので、あったほうが便利だと思ったときには、速やかに封印を解いたらいいと思います。より簡単に、より気軽に生けるために、剣山は使ったら良いのです。
それがあるために困難になるような道具としてなら、使わなくても良いのです。

 

正月花は、ノープランで生け始めてよし!

正月花の花材を手にして、
「どうしていいのか全然分からない」
と言う人がいます。

私は、全然分からないままに生け始めて良いと思っています。
もちろん、「こんな感じで生けよう」というビジョンがあって生けられるのはすばらしいです。しかし、それが無いなら無くてもいいではありませんか。実際に、私はノープランで、成り行きだけで生けることがよくあります。

ノープランだと、最初に何をどうしたらいいのかさえ分からない、と思われるかもしれません。
そんなときには、花材の中に枝があるなら、まず枝を挿すのが順当です。「枝→メインの花→サブの花」の順で挿せば、大体見られる花にはなります。
とりあえず、マニュアルのようなものが欲しい方は、下記を参考にしてみてください。(これは「万能のマニュアル」ではありませんが、「一番無難な手順」ではあると思います。どんな花器でも、どんな花材でも、大体これで無難にやれると思います)


【手順1】花材に松が入っていたら、松から挿す。松が二種類入っていたら、「立派なほう」から先に挿す。(松が無い場合は、手順2に進んで!)※「立派なほう」は直感で決めてOK

【手順2】松以外の枝を挿す。枝が二種類入っていたら、「立派なほう」から挿す。(枝が無い場合は、手順3に進んで!)※「立派なほう」は直感で決めてOK

【手順3】メインの花を挿す。花は、枝よりも短く切る。※「メイン」は、直感で決めてOK

【手順4】サブの花を挿す。サブが複数あれば、「重要に見えるほう」から順番に挿す。

【手順5】もしも真ん中がポッカリ空いていたら、花をちょっと真ん中に引っ張って「がら空き感」を消す。
以上。


↑このように、挿す順番を間違わないだけで、そこそこ見られる花になるでしょう。
私が見てきたところでは、生け慣れない人は、ほとんど自分の生けた正月花に満足しません。満足しないというより、自信が無いから「OK」が出せないのだと思われます。どこがイケナイのか分からないのに、「なにか、おかしい」と言う人が多いです。
しかし、本人が「なんかおかしい」という作のほとんどが、他人からすると何がおかしいのか分かりません。本人だけが、気にしなくてもいいことを気にしているものなのです。
それは、プロの目から見れば、手を入れたくなるようなポイントは色々見つかります。しかし、
「これは完全にダメですね」
ということは、そうそう無いものです。お料理の大失敗みたいに、「捨てるしかない」という結果は、花には無いと思っていただいて大丈夫です。

つまりは、最悪でも「ちゃんと見られる」し、「ちゃんと正月に飾れる」のです。自信を持ってください。

 

安易に生けて悪いことなど無い!

この記事にたどり着いた人は、正月花を簡単にさっと生けたいという思いが少なからずある方だと思います。

その気持ち、間違っていません! 正月花は、簡単なほうへ簡単なほうへと、安易に生けて大丈夫です。挿せば格好になる、それが正月花材です。
難しくて私には生けられないと思うより、軽い気持ちでさくさく生けてください。家庭内の花飾りであれば、それで十分なはずです。

いつか、安易に生けるのでは飽き足らない気持ちになったら、色々な飾り方を模索するのも楽しいかもしれませんし、プロの指導を受けることを考えても良いかもしれません。また、当サイト内の、もっと専門的なコラムなども参考にしていただけると、花を生ける世界を広げるお手伝いになるかもしれません。