◆超実用 いけばな編:貼り苔でワイヤーなどを隠す方法

 いけばなの展覧会で、苔つきの枝モノ、たとえば苔梅・苔松などを使うときに重宝する裏技です。展覧会出品経験が豊富な方は、当然のように知っている方法ですが、ハツミミの方や、聞いたことあるけど実技を未見の方は、参考程度に御覧になってください。

※秘伝の超絶テクニックではありません
※見なくても想像できる人には、見る価値ないかもしれません。それぐらい普通のことです

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(1)作業の目的

 「貼り苔で、ワイヤーなどを隠す方法」は、苔つきの枝モノなどを、留め具で留めるときに、留めた仕掛けを人に見えないようにするために苔を使ってカムフラージュする方法です。
 つまり、苔つきでないものを、唐突に苔でカムフラージュするのはヘンですので、そういうときには不必要です。また、うまいこと留めて、カムフラージュする必要がない場合には、苔つき花材であっても、わざわざ貼り苔を貼る手間をかける必要はありません。

 よって、人によっては、一生に一度くらいしか行わない作業である場合もあり、いけばな人として、知らなくても非常識ではありません。しかし、展覧会にどんどん参加し、大作も手がけようと思う人には必須の知識です。

(2)使用するもの

  • 苔つき花材(ここでは、苔松を使った画像で解説します)
  • 花材から剥がれ落ちた苔を拾ったもの
  • 接着剤……木工用ボンドでも、アロンアルファでも、「木」が接着できると書いてあるものなら、家にある接着剤でOK。(もしかしたら、強力なタイプなら、事務用の糊でも大丈夫かもしれません)
  • 留め具……ビス・釘・ワイヤーなど(ここでは、ワイヤーを使った画像で解説します)
※ちなみに、画像で使っている苔松は、以前ブログにも画像を貼っています⇒苔梅・苔松

(3)苔付き花材からはがれた苔を集める

 苔付き花材を扱っていると、必ず少しは苔がはがれてくるものです。
 苔付き花材の苔は、ゴミではありません。こいつがついているがために値段が跳ね上がっているようなシロモノなので、「宝だ」と思って拾っておきます。
↓こういうものが、はがれた苔です。

 はがれた苔をよく観察すると、明らかに接着剤の跡だと分かる痕跡が見られることがあります。
 それも道理で、多くの苔付き花材は、「貼り苔」を貼って作ったものだからです。樹木に張り付く苔は、森の中などでも見ることができますが、農園で栽培した、まだ細い枝モノに、そう簡単に苔が育ってくれるわけは無く、手軽な苔付き花材は、人の手でちょいと加工して、「苔むした」ように仕立てるのです。すべてが貼り苔ではなく、「天然苔に、貼り苔をプラス」しているものもあります。また、それなりのお金を出して山から切り出してきたような枝は、本当に全部天然の苔がついている品物もありますが、相当お高いです。

 要するに、落ちた苔も値段のうちなので、ケチケチ精神で拾っておきましょう。梱包を解くときや、枝をほぐすときに、特によく落ちますので、丁寧に集めておくと、このような苔が収穫できます。

 こういうもの、家族が嫌な顔をいたします。しかし、心無い妨害を受けても、くじけてはいけません。「これが高いんだばかやろう」と言ってやり、花材の本当の値段を教えてやると、大抵の敵は黙りますので、一発おみまいしてやってください。

(4)苔付き花材を、留め具で留める

 どうせ貼り苔で隠すのですから、かなり気楽にワイヤーなどで留めます。
↓なかなか適当な留めっぷりですが、こんなもので大丈夫です。

↑真ん中に、茶色いテープを巻いたワイヤーがぐるっと一周しています。この上に、苔を貼って隠してしまいます。

(5)留め具の上から、苔を貼り付ける

※記事にするのが恥ずかしいほど簡単な手順です

 木工用ボンドを使います。


 苔の裏に、ボンドを付ける。


 ワイヤーを隠すように貼る。


 はい、出来上がり。


 ただ貼っただけで、お粗末様でした。
 上の画像の枝は、実際にこのまま作品として展覧会に出品しました⇒2010年草月展

(6)あまった苔もとっておく!

 カバーするべき場所すべてに苔を貼っても苔が余っていたら、予備としてとっておきましょう。
 ちゃんとした花材でも資材でもない「きれっぱし」みたいなもののほうが、いざ必要になったときに入手できなくて困ることがあります。

 貼り苔の場合は、見えない後ろのほうの枝からはがしてきて使うという手もありますけどね。
 上の画像では、ワイヤーを使いましたが、ほかの留め具も、同じように上から貼って隠してしまうことができます。ビスや釘は、頭のところだけ貼ればいいので、ワイヤーよりもずっとカバーしやすいです。

(6)参考

 貼り苔は、留め具以外にも、色々なものを隠せます。
 枝の、妙に新しい切り口や、不恰好な傷なども、上から貼って隠すことができます。展覧会のときなどは、最後まで貼り苔の予備を捨てないほうがいいです。見た目のトラブルを、貼り苔だけで回避できることもありますから。

 同じように、「上から貼って隠す」という方法は、別の素材でも可能でして、木の皮で隠すのもメジャーな方法です。
 初心者の方は、大作を作る手伝いなどに行くときに、木の皮とか、はがれた苔が隅っこに集めてあるのを、「ゴミだわ」と気を利かせて捨ててしまわないように気をつけましょうね!(←結構ありがちなことです)


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