◆流木や木の根を入手するには

 いけばなの展覧会や、大型の店舗ディスプレイによく使われる素材に、「ぼく」と呼ばれるものがあります。
↓こういうやつです。

 上の画像は、管理人のストック花材:流木の記事にも貼っているものです。こういうやつ、結構生活の中で見かけると思います。たとえば、料理屋さんの入り口、デパートやブティックのウインドーやディスプレイ、TV番組のスタジオで背景にさりげなく配置されていることもあります。置いとくだけで、何となく様になるので、オブジェ感覚で使えるんですよね。

 「ぼく」は、細かく言えば「流木」と「木の根」に分かれます。しかし、大概は総称して「ぼく」と呼んでいます。上の画像は「流木」なのですが、まあ気にせずに「ぼく」と呼んでください。そして、画像の「ぼく」は一抱えもあるような大きさですけど、手のひらにのるようなサイズのものもあります。
 この記事では、「ぼく」初心者の方に、どこでどうやってゲットするものなのかを解説したいと思います。よって、物置に「ぼく」がたまって困ってるようなベテランさんには不必要な記事です。

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(1)「ぼく」は、無料でもゲットできる

流木

 「ぼく」は、世の中的にはゴミみたいなものなので、タダでゲットする方法が無いではありません。

 流木は、川や海から打ち上げられた木ですので、水面を漂っているときも、打ち上げられた後も「水辺のゴミ」です。誰の所有権にも属さない物体ですし、それを拾っても犯罪にはなりません。

 ただし、私有地は土地の持ち主に所有権がありますので、黙って取ってはいけません。私有地内の流木に「あの形がステキ!」と惚れてしまったような場合は、土地の所有者さんと交渉しましょう。相手によっては、「邪魔なので、どんどん持っていって」と言ってくれるかもしれません。
 運よく水辺の近くに住んでいる方は、身近にある自然の造形美を無料で我が物にしてください。私は、水辺に住んでいないので、万単位のお金を出して入手しているのですから。

 一方、木の根は、枯れ木を処分するときや、土地を整地したときに地中の根を掘りあげて出てくるものですので、これも処分されるべきものです。
 ご自分の所有地から根を掘り出すようなことがあれば、それを取っておいて利用することができます。ご自分の土地に根っこが無い場合も、よそ様の土地から出た根っこをゆずってもらうという方法があります。
 大型のゴミを「引き取らせて」と申し出るわけですから、これも喜んで「どうぞどうぞ」と言われる確率は高いです。ただし、そのために土をキレイにのぞいたり、梱包して輸送してくれたりする人はあまりいませんので、土だらけのやつを自分で取りにいく前提で交渉しましょう。

(2)流木採集を、いっそイベントにしてしまって楽しむこともできる

 流木をタダで入手するには、水辺に住んでいる必要ありと上には書きましたが、流木ゲット目的の旅行などセッティングし、それ自体を楽しみに出かけるという手もあります。海でも川でも、自分の好きな場所を選んでください。

 ただし、せっかく出かけても、流木が一つも無かったり、あっても好きな形が無いということは十分に考えられるので、そのリスクを承知して行きましょう。てゆーか、海や川への旅行がメインで、「良い流木があったら拾おう」くらいの用意をして行くのが賢い方法かもしれません。

 「ゲット目的の旅行」は、木の根の方には基本的には使えません。「掘り上げた木の根が並んでいる山」というのは無いので、パッと行って拾ってくることはできないからです。ただ、「知人の山から木の根が出た」など、あてがある場合は、「木の根を受け取るドライブ旅行」などに出かけることができます。

(3)木の根の堀り上げは、業者に頼んだら超高額

 木の根の掘り上げは、大仕事です。
↓こんなようなところから、こんなものを掘り出してくるのですから。

 これを専門業者に頼んだらいくらになるのか、私は頼んだことが無いので分かりません。しかし、「安いわけが無い」と断言します。よほどの事情が無い限り、現地に専門業者をやって掘らせるというのはおすすめしません。枝や、流木は、「どんなに高かろうが、あの形に惚れてしまった」というケースがあり得ますが、木の根は掘ってみないと形も分からないのです。どうせお金をかけるなら、市場に出てきたものから好きな形を選べば良いと思います。
 堀った現場から木の根をゲットするなら、「出てきちゃって、ゴミとなっているもの」に限るのが無難です。

(4)ハンドクラフト店で購入する

 やっと、正攻法な入手の手段を紹介します。
 私は、東急ハンズで何回も流木を見たことがあります。手軽に入手するなら、この方法が簡単です。店頭を見て、好きな形で程よい価格のものを見つけましょう(ハンズネットにもありますが、品切れのことが多いです⇒ハンズネット 流木)。

 ハンズ以外でも、流木や根っこの扱いのあるハンドクラフト店はあると思いますので、ご自分の行動範囲内のお店を日ごろからチェックしておくと良いです。急いで買う必要が無いなら、何度か店頭チェックを行い、その店で出やすい形と、値段帯を把握し、「これこそは!」と思ったときに買うほうが良いと思います。

(5)アクアリウム屋さんは、小さい流木の宝庫

 アクアリウムの専門店は、水槽に入れるための流木を売っています。
 「水槽用」なので、巨大なものはあまり無く、多くは手のひらサイズです。そのくらいの大きさでかまわない場合は、ハンドクラフト店よりも、むしろ大型のアクアリウム専門店の方が、モノを選べて良いかもしれません。アクアリウムを趣味にしている人は、こだわりがある人が多いそうで、「こういう形が良い」というオーダーを、店員さんがよく聞いてくれるらしいです。

※私自身はアクアリウム店で買ったことが無いので、すべて伝聞情報です。なぜか、アクアリウム専門店って、入り難い店が多いですよね。

(6)ネットで買うなら、こんなところを見てみよう

 ネットで買うなら、私ならとりあえずここを見る、というところを列記してみます。(ネットで買うと、現物を直接には見られないわけですが、多くのいけばな人が花屋さんから「ぼく」を買う場合も、現物チェックできない場合が多いので、ネットは画像が見られるだけマシなのです)

●楽天市場……まずは、ここを見て損はありません⇒楽天市場 流木
●Yahoo!ショッピング……楽天市場よりも、かえって探しやすいかも⇒Yahoo!ショッピング 流木
●流木専門店……ここが一番見ごたえがあります⇒流木屋

(6)いけばな展覧会作品の「ぼく」は、大概は花屋さんが仕入れている

 この記事の一番上に貼った画像の「ぼく」も、花屋さんにお願いして仕入れてもらったものです。いけばな人の持っている「ぼく」は、多くが花屋さん仕入れです。これから先、私が「ぼく」を買うとしたら、やはり花屋さんから買うことが多いと思います(ネットで買うなら、流木屋にする可能性が高いでしょう)。花屋さんなら、「こういうのが良い」という希望のものを市場で選んできてくれますし、使用場所に配達を頼んで、直に現場に持って行ってもらうこともできます。また、「ぼく」の納品経験が豊かな花屋さんは、格好の良いものを選ぶ目を持っているので頼りになりますし、「こんな風に使いたいんだけど、強度的にどうかな」くらいの相談には乗ってくれます。

 初心者の方のために、花屋さんで「ぼく」を買う方法を以下に紹介してみます。
【1】なるべく展覧会に納品経験が多い花屋さんに行って、「ぼく」を注文できますかと聞いてみる
 または、大型のディスプレイを請け負っているような花屋さんでもいいです。要は、「ぼく」を仕入れ慣れているような花屋さんを選んで交渉しにいきます。店によっては「できません」と言われるかもしれませんので、そのときには何軒か回ってみましょう。
(いけばな畑の人なら、流派の御用達みたいな花屋さんに行けば、確実に注文を受けてもらえます)

【2】注文を受けてくれる花屋さんを見つけたら、「大きさ・使用目的・予算・納品日・納品方法」を伝える
 どうしてもゆずれないポイントがあれば、必ずその旨を伝えましょう。大抵の花屋さんは、「ぼく」のストックなど持つつもりが無いので、「ぼく1点」の注文であれば、「1点」しか仕入れません。つまり、注文主に商品選択の機会は無いと考えるべきなのです。また、手持ちで輸送できないサイズのものであれば、配達してもらえるかどうかも確認しましょう。

【3】使った「ぼく」を、手元に残したくない場合は、花屋さんに「引き取り」可能かどうか聞いてみる
 巨大な「ぼく」を使う場合、「こんなもの、撤去後に持ち帰っても、家に置く場所が無い」という場合があります。その場合には、お金を払って大型ゴミに出すか、人にゆずるか、花屋さんに回収してもらうか、というような結末になります。

もしも花屋さんが引き取ってくれるなら、ゴミにもならず、手間はかからず、使用者としては大変楽ちんです。実際に私は、ページ上の画像の「ぼく」を、一度は「処分してくれ」と頼んだのです(後に撤回しました。ケチケチ根性です)。
 花屋さんに回収してもらう場合には、有料か無料か確認しましょう。花屋さんが資材として回収するつもりなら、お客としては「タダでゆずるわね」という立場ですが、花屋さんが「お客さんがお困りなら、うちが回収してゴミに出します」というつもりなら、「手間賃」を払わねばならない立場になる場合もあるからです。

【番外編】超大型の高級生花店なら、店にある「ぼく」の中から選んで買うこともできる
 高級専門花店には、常時「ぼく」のストックがあることが多いです。そういうお店でなら、数多くの品物の中から、「これが欲しい」と選ぶことができます。また、「現物に難を見つけて値切る」などということもできます。「ぼく」は高いので、値切り甲斐がありますよ。

(7)「ぼく」を買わずに、借りて済ませる方法もある

 「ぼく」を使いたいけど、高いし、大きくて邪魔なので、買うのに二の足を踏んでいるような方のために、借りて済ませる方法も紹介しましょう。

●知人に借りる
 いけばなを長くやっているような人で、「ぼく」を使うのが好きな人が知人にいれば、手持ちの「ぼく」を借りられないか交渉してみる余地はあります。もしも快くOKされた場合には、できるだけ先方に手間をかけさせずに借りましょう。もちろん、「こちらから取りに行き、使用後はきれいにしてお返しに行く」というのが基本です。また、ビス打ち・釘打ちは遠慮しましょう。当然、色塗りなどしてはいけません。もしも、持ち主さんが、「古いので、ビス入れちゃってもいいし、多少割れたってかまわない」などと言ってくれた場合も、「こんな風に使います」という事前報告はするべきでしょう。

●番外編:花屋さんに借りる
 実は、大規模ないけばな展で使われる「ぼく」は、リースで済ませているケースがあったりします。これは、完全に「花屋さんと交渉してみてどうか」ということになります。
 私は、実際に何度か「ぼくリース」を使った花展に出ています。しかし、花屋さんは誰にでも「ぼくリース」に応じてくれるわけではありません(だから、番外編としたのです)。その花屋さんと信頼関係があり、「ぼく」だけはリースだけど、そのほかの花材をたっぷり買いますという、向こうに一肌脱がせる気になる要因を持ったお客さんでいないと、受けてはもらえないと思います。

●管理人の例:私は、公園の木ゴミ置き場から借りたことがある
 以前、グループで草月展に出たときに、都内の某公園内にある樹木系ゴミの置き場に入らせてもらい(自治体の「公園課」みたいなところの許可を取りました)、ゴミ=「ぼく」を借り受けたことがあります。
 使った後の「ぼく」は、釘類を抜いて返却しに行きました。どうせゴミとして粉砕するので、好きに切っても全然かまわないと言われ、傷付けようが何しようがまったく自由でして、借り物の「ぼく」であんなに気を使わないで済んだことも珍しかったです。「文化目的の使用」だったので、「喜んで貸しましょう」という応対だったと記憶しています。しかし、どこの自治体でもそうなのかどうかは不明です。

(7)「ぼく」の保存上の注意

 「ぼく」を使った作品を創った後に、手元で保管する場合、理想はきれいに包んで物置にでも入れたいところですが、なかなかそうもできない場合は、屋外に放置しても大丈夫です。
 完全に雨ざらしだと劣化が早いので、軒下くらいに入れられると良いです(でも、雨ざらしにしている方もいると思います)。私なら絶対にしないのは、「土の上に置く」ことです。コンクリとか、石畳などの上に置き、土の上に直置きは避けましょう。土の水分が上がってくるのだと思うのですが、下からだんだん腐ってくることが多いのです。やむを得ず土に置く場合には、私ならビニールで包みます。



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