◆鶴の巣

華道具:鶴の巣(つるのす)

 いけばなの道具で、鶴の巣(つるのす)と言います。多分、いけばな未経験の方は、見たことも聞いたことも無い類の道具だと思います。
 この道具の用途は、主に華留めです。左の画像では、べたっと固めた輪っかになっていますが、この銀色の線は鉛線でして、手で簡単に形を変えることができます。すでに紹介している鉛シートというツールの、型違いみたいなものです。

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 しかし、鶴の巣は、鉛シートのように、それ自体を主役にしたり、フォルムの一部にしたりするようなツールではありません。基本的には、剣山と一緒で、「見えないところに使う留めツール」です。しかし、うまく処理というか、演出すれば、見えてもOKな使い方はたくさんあると思います。

 画像を見ていただいて、箱の中に比較的小ぎれいにしまってあるところから、鋭い人は見抜かれるでしょうが、私はこの鶴の巣を、あまり多用してはいません。多用どころか、二回くらいしか使ってないかも……。
 「なぜ使わない?」と聞かれても答えに困るんですけど、うーん……「本格的ないけばなには、思っているほどは使えない」っていうか、すごく悪く言うと「姑息な道具」なんですよね。こんなお手軽な線で花留め作るくらいなら、植物だけで留めるスキルを高めよ、ってことを考える人の家では、あまり登場の機会はありません。私が今までに使った「二回くらい」のときも、花留めというよりは、重しに使用しました。
 考えたら、「お手軽な線の花留め」なのですから、いけばなのプロの家よりも、一般のご家庭で、便利に使ってもらうほうがいいんじゃないかとも思えます。しかし、これだけ手で形が作れる花留めも滅多にないので、本気で使う気になれば、いくらでも使い道は開発できると思います。

 扱いは、本当に手軽です。鉛線をちょっと引っ張るとこうなります。
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 あまりにも簡単に形が作れるので、この素材を主に、なにか造形的な作品でも創れないかとたまに思います(本当にそうしようとしたら、大量に要ると思いますが)。

 ところで、鶴の巣は、草月流では、あまりメジャーな道具ではありません。たしか、草月流のショップでは、扱いが無かったと思います(トルネードという道具は、似ていますが別物です)。しかし、一般の華道具店では、「鶴の巣」もしくは「鉛線」として、どこでも売っています。
 私は、この道具の「鶴の巣」というネーミングが不思議で仕方ないのですけど、これ、どういう意味なんでしょう? 動物系のネーミングって、大抵は「それに形が似ているor色が似ている」みたいな、見た目に由来することが多いと思うのですが、鶴が鉛線のような巣を作るとは思えません。
 見た目でないとすれば、「鶴=おめでたい感じ」で、「単に名前としてちょっとイイ感じ」だと思って付けられたものなのでしょうか?(亀の華留めがありますし……)
 この道具は、材質からしても、かなり時代の新しい道具だと思うのですが、やけにクラシックな名前をつけられていることも、私には不思議に思えます。


鉛線 6ミリ

●ちなみに、亀の華留めはこういうものです
亀型 花留



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