◆花留(直線)

鉄花留(直線)

 草月流のアトリエに発注した鉄の花留です。ずいぶん前に買ったので、値段は忘れてしまいましたが、現在のカタログに、鉄花留は一個3780円(会員価格)で載っているので、それよりちょっと安いくらいではなかったかと思います。大きさは、35×35×35pくらいです。結構大きいですよね。

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 いけばなをやっていない方には、上の画像の「花留」の使い方が、想像していただけるものでしょうか? うちに来る人で、いけばなを知らない人が、道具部屋にこれが転がっているのを見て、「何コレ?」と不思議がることがあるんです。私が「花を留めるものだ」というと、大抵の人はさらにびっくりします。私は子供のころから見て知っているので、これがそんなに「不思議物体」には見えないんですよね……。そうだ、一度「ジャングルジムの模型?」と言った人がいたっけなあ。仮にそうだとすると、なんでそんな模型を私が持っていなきゃいけないのさ?

 この物体は、「花留」ですので、大きく言うと、剣山とか、オアシスと同じ目的を持ったものです。この花留が、ほかの種類の花留と大きく違うところは、
【1】見えても良い
【2】使う方向を選ばない
【3】この花留を、いくつか積み重ねて使用することが可能

↑こんなところでしょうか。

 【1】の要素は、大型の作品を作るうえで、非常に役に立ちます。
 一般の人が、意外と知らないことのひとつに、「剣山は、隠すものである」という事実があります。これ本当に、人によっては「爆弾投下」くらいの驚きを覚える衝撃の事実みたいです。
「だって、いけばなって、剣山を使うことが大前提じゃないですか! それを、隠蔽する必要がどこに?」
と思うらしいんです。しかし、いけ手からすると、いけばなは、剣山を使うことが目的でもないし、それが楽しいのでもないんです。
 剣山は、花を生ける手段であって、それを目指すものではありません。だから、花が勝手に立てば、剣山を使う華道家は一人もいないでしょう。刺さなきゃ花が倒れちゃうから、そうするんです。よって、剣山の存在は、「裏の事情」であって、表に出すのはNGです。シークレットブーツであることが、一目で分かるシークレットブーツがNGなようにね。
 だから、いけばな家は、葉を前に下ろしたり、小石を水盤の中に入れたりして、剣山を見えないように操作します。しかし、このような、それ自体がオブジェ的で見えてもいい花留があると、隠すことを何も考えないで大型作品をガンガン作っていけます。むしろ、鉄の質感や、直線で作られた形が面白いので、積極的に花留を見せる作品を考えることもできます。そうなると、花留でありながら、素材の一部にもなるわけで、一石二鳥です。鉄が好きな人で、展覧会などの公の場所に生けることが多い人は、持っていると何かと役に立ちます。

【2】の要素は、さらにお役立ちポイントでして、たとえば、こっちの方向で使うこともできるわけです。
↓ ↓ ↓

鉄花留(直線)
 どちらが上という方向の無い道具なので、どの向きに立たせようが、いけ手の自由です。
 ちなみに、この鉄の花留は、注文生産です。発注してから草月アトリエの人が製作するので、草月会館に並べて売っているわけではありません。
 そして、製作の方法は、決まった量の鉄を、大体同じ大きさになるように、適当にくっつけていくのだそうで、まったく同じものを生産しているわけではありません。つまり、何個か注文すると、微妙に違う花留が届くことになりますが、作品を作る側から見れば、そのほうが「一点もの」で面白いと思います。

【3】の要素は、オアシスでも剣山でも決してできないことです。
 単に「引っかかりになればよい。あとは重さで支えていく」というツールなので、どの方向に、どう重ねても、機能が損なわれることがありません。また、重ねるほどに、鉄自体が面白い表情を見せたりするのも楽しいです。

 私は、生まれて初めて参加した草月展で、この花留を利用しました。鉄ですが、線だけのスカスカなので、重さは1キロくらいです。きちんと包めば、大きなバッグに入れて持って歩けるので、搬入出は楽なものでした。
 ただ、鉄の塊には違いないので、持ち歩く際には、人様にぶつけないように注意しましょうね。

鉄花留め(曲線)も紹介しています。


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