◆ハイドロカルチャーを攻略する
手軽で洒落た水栽培のハイドロカルチャーは、初心者ガーデナーさんから、ベテランorマニアックガーデナーさんにまで、幅広い人気があります。
ハイドロカルチャーとは、基本的には、発泡煉石を入れて水を張った容器に植物を植え込むものです。発泡煉石は、商品名は色々ですが、ハイドロボールと呼ばれることが多く、最も一般的なものは、レンガ色の直径1センチほどの球型のもので、粘土状の土を丸め、高温で焼いたものです。
しかし、最近は、発泡煉石も、炭を原料にしたり、粒の形、大きさ、色なども様々なものが出て、ついにはゼリー状の、発泡煉石とはまったく異なる素材の中で栽培するものも登場しました。
ゼリー状の素材を使用して育てるのは、「ハイドロカルチャー」とは呼ばずに区別する人もいるのですが、ここでは、土以外の、人工素材を入れた容器に水を張った水耕栽培を、すべて「ハイドロカルチャー」として紹介したいと思います。
ハイドロカルチャーは、出来上がった鉢物としても販売されています。しかし、ここでは自分で一から作る方法を紹介します。(簡単ですよ。相当不精な人でも付いて来られます)
◆用意するものは?
ハイドロカルチャー制作のために、用意するものは、
容器 発泡煉石(あるいは、その他専用用土) イオン交換樹脂栄養剤 植物
以上です。特殊な植物、特殊なデコレーションなどを導入するのでなければ、上記のもので済みます。園芸店や、ホームセンターで入手できますが、ぶっちゃけ、100円ショップでも全部そろいます。
それでは、一つ一つについて解説を……。
◆ハイドロカルチャーの容器
ハイドロカルチャーは、水栽培です。ですので、水抜き孔のある植木鉢ではなく、花瓶のように、水をためられる容器で作ります。
逆に言えば、水が漏らなければなんでもOK! きれいな空き瓶とか、お茶碗、ぐい飲みなど、何でも活用できます。
ハイドロカルチャーが登場したばかりの頃は、「オシャレな新しい水栽培」を強調するため、ほとんどが透明なガラス容器で作られたものでしたが、最近は、せともの、金属など、あらゆる素材と質感の容器が使われるようになりました。(でも、ガラスは、涼しさも演出できて、とても良いと思います)
たとえば、私なら下の画像のような容器を使うと思います。
※ブログに、このような記事があります→ハイドロカルチャー容器(ダイソーで100円)
◆発泡煉石(その他、ハイドロカルチャー専用土)
もっとも一般的なハイドロカルチャー用土は、発泡煉石です。使用する器いっぱいに入れますので、
どのくらいの量が必要なのか、あらかじめ確かめてから買うのが良いです。 発泡煉石は(その他のハイドロカルチャー用土も同様ですが)、入れ替える必要などはありませんので、
あまり大量に買ってしまうと無駄になります。 以下に、代表的なものを紹介します。
●発泡煉石……1200度の高温で、粘土を焼いたもの。丸い粒状。
アイリスオーヤマ ハイドロコーン大粒 750ml
レカトン(ハイドロボール) 2リットルサイズ
●炭&セラミック製のハイドロボール…………炭が、水も室内の空気も浄化します。茶・ピンク・ページ・黒・白・青の各色があります。丸い粒状。
ネオコール白(小粒)320ml
●カラーサンド……大理石に、塗料を焼き付けたもの。小粒の砂利状。左下画像のように、各色が選べるようになっています。複数の色でマーブル模様を作ることもできる。透明な容器で作らないともったいないです。
BSカラーサンド(ライトブルー)
カラーサンド小粒 160g
◆イオン交換樹脂栄養剤
ハイドロカルチャーを初めて見た人は、大抵「水を入れっぱなしでは腐ってしまうだろう」と思うものです。それを防いでいるのが、イオン交換樹脂栄養剤です。単なる「栄養剤」ではなく、水の浄化も行います。
しかし、最近では、ハイドロボールが多機能になっており、「防腐薬剤不要」と謳ってある用土であれば、特にイオン交換樹脂栄養剤は必要ありません。(加えたとしても害はありませんが)
また、最近は、商品名に「イオン交換樹脂」とは書いていなくても、「ハイドロカルチャー用根腐れ防止剤」と書いて売っているものであれば、水の浄化と根腐れ防止の役目は果たします。もしくは、「ハイドロカルチャー用栄養剤」の中にも、同様の成分が入っているものもありますので、それを使ってもかまいません。
重要なのは、「用土か、使用する薬剤か、どちらかが、必ず防腐の役割を果たしている」ことです。防腐の処置を一つもしなければ、ただの水と一緒ですから、水も根も腐ってしまいます。
根ぐされ防止剤は、通常4〜6ヶ月ごとに補給します。薬剤の説明書きに従って追加してください。
●多分、一番有名なハイドロカルチャー用根ぐされ防止剤はこれ。
ソフトシリカ ミリオンA 500g
スーパーミリオンA 80g :柴田園芸刃物(水耕栽培に使用する根腐れ防止剤)
◆植物
ハイドロカルチャーは、ほとんどの観葉植物で作ることができます。「これは、絶対に使ってはダメ」というのが、ちょっと思いつかないくらい、何でも大丈夫です。
ただし、花ものには制限があり、ほぼセントポーリア、ベゴニア、シクラメンに限ると考えてください。
◆ハイドロカルチャーの作り方
下記の手順で、ハイドロカルチャーを作成します。
- イオン交換樹脂栄養剤を、容器の底に入れる
- 用土を、器の底が隠れる程度に入れる
- 植物を用意する。土に植わっているものを使用する場合は、鉢から掘り出し、土を水できれいに洗い流す
- 器の中に、根を広げるようにして植物を置き、周りから用土を加えて植え込む。植物が、きちんと直立するように、しっかり植え込む。用土は、器いっぱいに入れることが多いが、それより少なくてもかまわない
- 水を注ぐ。目安としては、容器の4分の1程度。多くても、3分の1を超えない方がいい
以上で、出来上がりです。
植物は、一種類でも、多種類でも、同じ方法で作れます。
◆ハイドロカルチャーの管理方法
●置き場所
室内の、直射日光が当たらない場所。半日陰程度がベスト。直射日光にあてると、水がお湯になってしまい、根を傷めます。
●水やり
鉢物の基本と同じように、「無くなったらやる」でOKです。
入れる量は、容器の4分の1程度。多くても、3分の1を超えないようにします。うっかり、多めに注いでしまったら、余分な水を捨てましょう。
透明な器は、外から水の量が見えますが、不透明な器の場合は、水位計を使えば水の量を計ることができます。
慣れてくると、わざわざ水位計を使う必要はほとんど無いのですが、水位計自体、100〜500円程度の値段ですので、「そのくらいなら出してもいい」と思われる方は、一つ入手してみてもいいかもしれません。
↓こういうものです
水位計 ミディアムサイズの観葉植物用
●肥料
もともと、ハイドロカルチャーは、あまり巨大に育てる目的の栽培方法ではないので(所詮、水栽培ですから……)肥料は、抑え目にします。
イオン交換樹脂栄養剤を入れている場合は、基本的には必要ないと考えて結構です。しかし、「生育が悪い」と思ったら、ハイドロカルチャー専用の肥料を一つ買って、そこに書いてある説明を守って与えてください。
【参考】
楽天市場のハイドロカルチャー肥料
●植え替え
1年に1回もすれば十分です。普通の土植えの鉢と一緒で、一回り大きな器に移します。そのときには、上の「ハイドロカルチャーの作り方」を、もう一度くり返すだけです。
●容器が汚れていたら洗う
特に植え替えるつもりはないが、容器が汚れてきた……という場合は、やはり一度中身を出して、洗ってあげましょう。
よくあるのが、透明な容器の内側にアオコが発生して、汚い水槽みたいになってしまう、というパターンです。これは、ただスポンジなどでこすれば落ちます。
●ハイドロボールは、洗えば何度でも使える。
ハイドロカルチャーで育てていた植物を、植え替えたりするときに、ただ水洗いするだけで、同じハイドロボールを使えます。