◆水揚げとは〈その2〉 「最低限」の水揚げに飽き足りない方へ

水揚げ

 水揚げとは〈その1〉のコラムでは、「最低限」の水揚げに徹する方法をご紹介しました。
 しかし、微かながら、「最低限なんかで満足できない!」というツワモノの声も聞こえるような気がします。

 というわけで、プロ仕様の詳しい水揚げの方法も伝授させていただくことにしましょう。〈その1〉のコラムで紹介済みの水切り・きり戻しも、もう一度あわせて紹介します。

スポンサーリンク

【1】切り戻し(根元を切る)

 植物の根元を、鋏で切ります。
 切り口を新しくすることで、植物が水を吸い上げる力を向上させます。(植物の切り口は、切ってしばらくすると乾燥し、水を吸い上げる力を失っていくためです。一度乾燥したものは、水に漬けても元のようには復活しません。水にもどせば大丈夫、と思い込んでいる人がいますが、大きな間違いです)どの植物に用いても害になることはない、誰にでも最も簡単にできる基本的な水揚げ法です。

【2】根元を折る

 植物の根元を折ります。
 理由は【1】の方法と同様です。「切る」か「折る」かの使い分けは、植物の茎の硬さによります。硬いものは「折」で、やわらかいものは「切」で行ってください。
 大雑把な考え方として、「菊類と、菊類くらいの硬さのものはすべて折る」と考えて間違いありません。

【3】水切り

 水の中で植物の根元を切ります。
 【1】を更に徹底して行う方法といえます。【1】の方法では、切ることを空気中で行いますので、切り口が空気に触れ、細かい空気が水を吸い上げる道をふさぐことがあります。それを回避するために、切ることを水の中で行います。どの植物にも有効な、万能の水揚げ法です。

【4】水折

 水の中で植物の根元を折ります。
 【2】を更に徹底して行う方法といえます。【2】の方法では、折ることを空気中で行いますので、切り口が空気に触れ、細かい空気が水を吸い上げる道をふさぐことがあります。それを回避するために、折ることを水の中で行います。

【5】叩く

 木槌や金槌を使い、植物の根元を叩いて砕きます。主に、茎の硬い枝ものに用います。
 茎が木質レベルまで硬いと、【2】の方法を行うのがなかなか難しくなってしまいます。そんなときに、道具を使って叩く方が、簡単に水揚げができます。
 叩き揚げをどの植物に使うかは、プロの花屋さんでも、店によって(または人によっても)くせがあり、かなり異なる場合があります。自分を例にしますと、私が(経験と習慣により)必ず「叩き揚げ」を行うのは、ライラック・雪柳・ヒペリカムです。

 具体的な方法は、コンクリートや石などの平らな地面に植物を横たえ、根元の部分を木槌や金槌で叩いて砕きます。
 私は、自分の家で行うときは、ベランダにあるレンガの上で、金槌で叩きます。一度、足台にしているブロックの上で叩いたら、ブロックごと叩き割ってしまったことがありますので、ブロックを利用する方は十分ご注意ください。(いや、私が怪力なだけか?)  家で、叩き揚げまでするのは面倒……という気持ちを抑えるために、私はベランダに常時金槌を出しておくようにしています。これだけで、かなりものぐさ心をなだめることができますので、オススメです!

【6】湯揚げ

 植物の根元に熱を加えることで、水を吸い上げる管を収縮させ、水を一気に吸わせる方法です。一種のショック療法ですね。

 手順としては、植物を新聞紙でしっかり巻いておく(葉や花に湯気を当てないため)花を水に漬けるためのバケツを用意する湯を沸かし、沸騰したら、用意したバケツに注ぎ込む(水深1〜2cmくらい)すかさず新聞巻きした植物をお湯に漬ける数十秒くらいたったら、普通の水深まで水を注ぐ→おしまい

 更に、徹底するのであれば、植物をしばらく水に漬けた後に、根元の茹だって色が変わった部分を水切りすれば完璧。
 これも、多くの植物に有効な方法で、私が最初に修行した花屋さんでは、仕入れた品物の6割くらいは湯揚げ処理していました。

【7】根元を焼く

 植物の根元を、ガスコンロの上で直火焼きします。火で直接焦がすことで殺菌し、植物が吸い上げる水を浄化させる方法です。
 手順は、
植物を新聞紙でしっかり巻いておく(葉や花に、ガス火の熱気を当てないため)ガス火着火!(普通のキッチンのコンロでいいです)植物を真横に寝かせ、根元を火にかざし、真っ黒な炭状になるまで焼く火からはずし、水につける→おしまい

 手順の中の、「植物を真横に寝かせて火にかざす」という部分は、必ず守ってください。植物を縦に持ってかざすと、ガスの熱気が根元から新聞紙の中を駆け上がり、大切な花や葉を蒸し焼き状態にしてしまいます。(人間は、深く考えずに植物を持つときは大抵縦に持つものなので、要注意です)

【8】アルコールを使用する

 植物の根元を切って、アルコールにつけます。数十秒浸した後に、普通のお水に挿します。
 アルコールは、薬局で売っている消毒用アルコールでもいいですが、わざわざ買ってこなくても、キッチンにアルコール度数の高いお酒があれば、それを使う方が手軽です。ちなみに、私はサントリーの焼酎「樹氷」をよく使います。

 アルコールが効く理由は、植物に刺激を与えて水をよく吸い上げさせ、さらに消毒効果で水をきれいに保つことにあります。

【9】焼きみようばんを使用する

 植物の茎を切り、切り口に焼きみょうばんをこすりつけ、そのまま水につけます。
 焼きみょうばんは、スーパーや薬局で入手できます。最も一般的な使い道としては、茄子の漬物の色抜けを防ぐためとか、栗の甘露煮の煮崩れを防ぐために利用されます。
 詳しい成分は、私も知らなかったのですが、このコラムのために調べてみたら、「硫酸アルミニウムカリウム」なのですって。

 スーパーでは、漬物用品のコーナーや、調味料(みりんの近くとか)のコーナーにあることが多いです。スーパーの店員さんに所在を聞くときは、あまり若い人に聞くと、そもそもの説明からして大変なことが多いので、年配の女性に聞く方が話が早いです。
 この方法は、アジサイ(本来、水揚げが悪い植物です)に有効な水揚げとして特に知られています。
 焼きミョウバン 100g

【10】酢を使用する

 植物の根元を切り、数十秒酢につけ、その後水につけます。
 酢は、薄めず原液で使用します。特に効果のある植物は、ススキ、段竹、ほおずきなどです(いずれも水揚げの悪い植物ですので、酢上げ処理をしても、普通の切花より命は短いです)。

【11】切花延命剤を使用する

 市販の切花延命剤を混ぜた水に挿します。
 延命剤には、水揚げを良くする成分のほかに、水の鮮度を保つ成分の両方が含まれていることが多いので、水換えの手間も少なくて済みます。延命剤は、複数のメーカーのものが出回っていますが、私は「クリザール」を最もよく使います。

 延命剤には、ボトル入りの液体タイプと、水に溶かして使う粉末タイプがあります。私は、溶かす手間が面倒なので、液体タイプを使いますが、粉末の方が使いやすいという人もいるので、好みで使い分けたらいいと思います。
 粉末タイプは、大きな容器に入ったものと、小袋に分かれているものがあります。ちなみに、同じ銘柄の延命剤であれば、液体と粉末で効果が違うということはありません。

 買える場所は、
1.花屋さんの店頭(切花延命剤ありますかって聞いてみてください。大抵は1銘柄、多くても2銘柄くらいしか置いていないので、選択の余地はほとんどありません)
2.園芸専門店
3.大型スーパー、ホームセンター
4.ネットでも買えます
  楽天市場の切花延命剤
  Yahoo!ショッピングの切花延命剤

クリザール 250ml (延命剤)

 容量:250ml  切花を十分に咲かせます。
 家庭用なら、このくらいの料が使いやすい。

切花を長持ち!美咲 320ml

 容量:320ml
 最近、花業界で、特に評判の良い切花延命剤です。管理人も使っています。

きり花の栄養剤キープフラワー1袋

 1袋20〜30円くらいです。
 花屋さんに1袋売って、と言ってみると、運がよければタダでもらえるかも。(もらえなかったらごめんなさい)

 以上、11の方法を紹介してみました。ご自分で、色々試されて、「それほど苦にならない」「絶対的に行った方が得」と思われるものを実践してくださるといいと思います。


Copyright(C)2004.09.15-. 花の情報局.All Rights Reserved.