◆ひな祭りの花は必要なのか?

 管理人自身が子供の頃に、家でお雛様を飾るときには、特に花は一緒に飾っていませんでした。多分、季節行事に熱心でない母が、人形も花も、両方飾るのめんどくさかったのだと思います。
 私は、それでさびしいとも思いませんでしたし、花を職業にしている現在でも、「花無しのひな祭り」を良くないとも思いません。なので、管理人個人の見解では、「好きにすればいいんじゃん?」というとこになるのですが、この記事では、色々なケースについて考えてみようと思います。

◇ひな祭りに花を飾らなくても、「非常識」ではない

 もっともひな祭りらしい飾りと言えば、当然ながらお雛さまです。お雛様を出して、お花は別に飾らない、というのはOKでして、両者そろっていないとオカしい、というものではありません。

 もちろん、お節句の花を人形と一緒に飾れば、より華やかになり、正式感も増します。お雛様は、女の子の節句なので、華やかにかわいくお花を飾るのがふさわしいお祝いではあります。
 でも、花が無かったからと言って、人におかしいと言われるようなものではありません。なので、「おかしいかしら」と気にすることも無いです。
 その家の人が飾りたければ飾る、要らないなら飾らない、というスタンスで良いと思います。お雛様の傍らに花が無いのは、妙な風景ではありません。

◇お雛様を出さずに、花だけ飾るという手もある

 上の項では、「お雛様のそばに花が無くても大丈夫」と書きました。
 その反対に、「モモの節句用の花だけ飾って、お雛様はパス」という手もあります。実を言えば、現在の我が家の飾り方はこれです。お雛様は、うちには無いので(実家に仕舞いっぱなし)、自然とそうなります。大人になってしまうと、お雛様はなかなか出さなくなりますので、このスタイルでお節句を祝っている人は意外に多いはずです。全然、おかしいことなどありません。

 ……そう考えると、この飾り方(人形無し、花有り)が、現実的には一番飾りやすいのかもしれません。
 お雛様を出すのは一仕事だけど、花を飾るのはそれよりも簡単、という状況なら、より飾りやすい花の方だけを飾るのも、お節句飾りの一つの方法だと思います。(女の子が小さいうちは、お雛様をぜひ出したいところですが)

◇人を呼んで盛大に祝うときには、あったほうが格好がつく

 上の二項を読んでいただければ、花を飾るのも飾らないのもまったく自由であり、よりご自分にとって現実的で合理的なほうを選べばよいのだと思っていただけると思います。

 ただし、ものすごく盛大なおひな祭りのお祝いを催すおつもりなら(たとえば、親戚一同を、結構本格的に呼んだりする場合)、無いよりはあった方が格好がつきますし、正式感が増します。また、年配の方々には、「ちゃんとしてるなあ」と思ってもらえると思います。

 「ひな祭りのお祝いのために、そろえられるものは全部そろえよう」と思っておられる場合にも、ぜひお花を飾ってください。
 「桃の節句」ですからね。そもそも、花の節句なんです。ひな祭り用の花は、その時期には必ず花屋で売っていますから、「探したけどそろえられなかった」ということは無いので、安心してください。

◇その日の主役の意向を聞いてみよう

 ひな祭りの主役は、「節句を迎えた女の子」です。色々準備するのは親の方かもしれませんが、主役はあくまで「お嬢さん」のものです。だったら、その日の主役の意向を無視するわけにもいきますまい。

 お花があった方が良いか、無くても良いのか、ヒロインに聞いてみましょう。意外に何の興味もないかも知れませんので、あっさり「要らない」ということも大いにありえます。
 その場合には、親の側も「無くてもいいかも」と思っていたら、ホントに要らないんじゃないでしょうか。

 ヒロインが「要らない」と言っても、親の側が花を飾る気満々なら、どうぞ飾ってあげてください。お金を出すのは親でしょうから、親の思う「ひな祭りにふさわしい飾り」をそろえたってかまわないでしょう?
 ヒロインは花が欲しいのに、親は「お人形で十分でしょ」と思っているのなら……交渉して、妥協点を見つけてください。その際には、当サイトのおひな祭りの花特集の情報を参考になさってください。

◇親に「花の心得」があるなら、生けてあげたらいいんじゃないかな……

 いけばなでも、フラワーアレンジメントでもいいですが、親御さんに花飾りの心得があるなら、ぜひ生けてあげたら良いんじゃないかと思います。
 親の表現のこだわりとか、技術的に優れた部分とか、全然分かってくれないでしょうし、それどころか大して喜んでもくれないかもしれないけど、まあいいじゃないですか。あまつさえ、「何この変な花」などと暴言を言う可能性もありますけど、それもまあいいじゃないですか。

 もしも、親の生けた花を見て、ちょっと満足そうな顔をしたり、ちょっと得意そうな顔をしたなら、それは花展で褒められるよりも嬉しいと思いますので、どうかその表情を見逃さないでください。

◇結論としては……

 結論としてはですね。飾っても、飾らなくても、どっちでもいいです。あなたの好きにしてよし、です。
 ただ、花業界人の管理人としては、飾ってくれる人が増えたほうがうれしいですけど……。

 こういう、「どっちにしよう?」という問題で、一番困っているのは、本当にどっちにしていいのか、どっちにしたいのか、自分の気持ちもよくわからない場合です。いっそ、「飾りません!」という人には悩みは無いのです。
 飾ってみたいような、めんどくさいような……と迷っておられる方は、とりあえず1回は飾ってみたらどうでしょうか。その次の年から、あまり気持ちが乗らなかったら、そのときは飾らなくてもいいじゃありませんか。
 「とりあえず1回」と思うのもめんどくさければ、その人は飾らなくていいでしょう。無理に飾るというものでもないと思います。


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