◆松を買わなくても、「松に似てるやつ」で正月花にしてしまえ!

ミリオグラタス

 松は、それさえ入れれば正月花が成り立つほどに、正月らしい花材です。松は、暮れになれば入手は簡単、日持ちは大変よく、値段もそれほど高くはありません。なので、素人さんにも、比較的扱いやすい枝ものと言えます。

 そうは言っても、素人さんに言わせれば、
「切るのに勇気がいる」
「器に立たせるのが難しい」
という二点は、かなり困るもののようです。あんまし、気軽に扱えないと思われている気配もあります。(少しでも花を習った人にとっては、そうでもないのですが……)

 だったら、もっと気軽に扱えそうな花材で、「松」のふりをさせたらどうだろう、松を偽装してしまえ!と考えた結果が、この記事です。

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◇ミリオグラタスを、松に化けさせる!

 この記事を書くきっかけになったのは、こちらの記事の正月花です。ミリオグラタスを、あたかも松のように扱って正月花にしていたら、本当に松だと思ってくれる人が続出し、これはアリかも!と思いました。

 ミリオグラタスは、このような植物です→自分が使った花材事典:ミリオグラタス 枝というよりも草ものなので、とても細い枝です。なので、切るのはとっても簡単です。松のような樹木よりも、軽快に使える花材です。

 この記事では、ミリオグラタスを、「松っぽく生ける」ことを面白がってみようと思います。本物の植物を使っているのに「フェイク」な感じに仕立てるという、面白実験だと思ってお読みください。

 実用性は、ちゃんとあると思います。だって、管理人宅の2016年の正月花は、ミリオグラタスが務めたのですから!

◇「偽装」は、あまり風呂敷を広げすぎてはいけない

 では、これからいくつか「偽装」の正月花を生けるにあたって、一つだけ共通の条件を設けることにします。
 それは、「小さく生けること」です。小さな器で、手のひらに乗るくらいの大きさで作ります。なぜなら、大きく作ると偽装がばれるからです。

 ディテールを大事にして、小さく緻密な嘘をつきましょう。松じゃないものを「松」に仕立てるという、大きな嘘を1個ついているのですから、ほかにあまり大きな「偽り」を入れ込んではダメです。本職の詐欺師だって、「大きい一つの嘘+たくさんの小さなホント」でだますと言うじゃありませんか。
 ミニ正月花で、罪の無い嘘をついて楽しみましょう。

◇ミリオグラタスは、松よりも「茂り」がある!

 暮れに正月花材として売っている松の中で、一番普通な松は若松です。素人の方の買う松の多くは、この種類の松です。

 若松というのは、こちらのページを見ていただくと分かると思いますが、大体下の線画のような形をしています。

 真ん中に、一本メイン枝が立ち、途中の一点から、何本かのサブ枝が立つ。これが若松の特徴です。
 この形、正月らしくて良いのですが、ワサワサとした茂りがありません。茂りすぎていても、素人の方は扱いに困ってしまうのですが、本当は、「ほどほどの茂りがあったほうがやりやすい」はずなのです。茂りで、色々ごまかすことができますから。

 ミリオグラタスはどうかと言いますと、こいつの方は茂ってるんです。そば徳利に、ミリオを一本挿しただけで、下の画像のようになります。

 どうです? 早くも、骨格できてません? これ、16〜7センチくらいのミリオを一本挿しただけです。

↓もう一本ミリオを足しました。

 「いけばなっぽい」気配さえしてきた!

 ここで、ワンポイントアドバイスです。
 もしも、「いけばなっぽい方向」にしたてたいなら、ミリオグラタスを、左右非対称に入れると、それ風にしやすいです。

◇作例1……そば徳利に、ミリオグラタスと蜜柑と千両を生ける

 上の項で、せっかくそば徳利にミリオを入れたので、ついでに作例に仕上げてみました。

 蜜柑の枝と、千両と、輪にした水引を、一つずつ入れました。完全に「詐欺師の手口」を踏襲しまして、ミリオグラタス以外は、マジの正月テイスト素材しか使っていません。「ホントの要素」を複数入れて、「たった一つの大きな嘘」を包み隠します。
 ここでは、蜜柑と千両を使いましたが、もちろんほかの花材でも結構。なるべくお正月っぽいものをそろえると良いです。

◇作例2……「作り物の正月花」みたいな楽しみ方をしよう!

 小さな作り物を作る楽しさって、あると思います。
 たとえば、ちりめん細工でおせち料理を作ってみたり。組みひもでお飾りを作ってみたり。プリザーブドフラワーで和菓子を作ってみたり。実物よりもだいぶミニサイズで作って、実物よりも可愛げを出す、みたいなフェイクの楽しみ。そういうものを、ミリオの正月花でやってみたらどうかと思いました。

 というわけで、本格派を模写してこそ面白い、と思いまして、ここは「鉢に生けた盛り花」の超ミニ版を、松を使わずにミリオで再現します。
 使いましたる器は、黒のリーフポット。100均にて購入の品でございます。高さ6cmほど、長径は11cmほどです。

 リーフポットに入れた豆剣山に、ミリオを2本挿します。


 1本めを立て、二本めは横に伸ばす。

 @を立てた理由は、「なんだかんだ言って、松を1本立てると正月花っぽい(この場合はミリオだけど)」ということ、Aを横に出した理由は、「横にぐいっと枝が出てると、いけばなっぽく見える」ということによります。

 そして、厚みを出すために、左手前に短いミリオBを一本足します。

 もはや、全体像は見えたも同然。15cm以下のミリオ三本で、骨格が完成しました。
 ここに、上の項で使ったのと同じ花材、つまり、蜜柑と千両を足してみます。

↓まず。蜜柑を入れます。

 もちろん、蜜柑じゃなくても全然OK。小菊とか、スプレー菊だっていいのですよ。

↓そこに、千両を足す。

 真ん中が、がら空きになっていなければ、そんなにうまくない花でも結構大丈夫なものです。これ、覚えておいて損はありません!

 と、ここで終わりにしても良かったのですが、今回は、花らしい花を使っていないので、派手派手アイテムを追加しようという意味で、やはり上の項と同じく輪に作った水引を入れました。

↑無駄に堂々とした正月花完成!

◇作例3……やっぱ水盤でしょ!

 いかにも本格派な正月花を模していこう、という作戦であれば、やはり水盤に生けることを無視するべきではありません。
 この器を、「塗りの赤水盤」に見立てて、超ミニ正月いけばならしく仕上げてみましょう。器の大きさは、7.5×7.5×4cmです。

 器の中に豆剣山を入れて、ミリオを1本立てます。
↓ ↓ ↓

 ミリオの高さは、20cm弱くらい。立てた理由は、上の項で立てたものと同じです。

 短いミリオを4〜5本足して、こんな形にしました。
↓ ↓ ↓
 
 なんか、盆栽風な感じ。なんとなく全体が三角形になりましたが、そんなに明確に「三角を作ろう」と意識する必要はありません。
 高く立てた1本の左右に一本ずつ挿し、その中間に2本くらいさせば、必然的にこうなります。

↓こういうことです。

 A〜Dを、@よりも短く切れば、こうなります。
 このときにも、「左右非対称のほうがそれっぽく見えるの法則」を意識しましょう。「非対称の法則」によって挿した結果、画像のミリオは、「月形」みたいな、流れがあります。


 ここにも、今までの作例と同じ花材、蜜柑と千両を加えてみます。

 ミリオで作った「月型」から、そんない出ないように入れれば大丈夫。

 上の作例には、全部水引を入れてきたので、ここでも水引いれてみましょうか。

 器が赤なので、紅白水引にしてみました。この花、全体でも手のひらサイズです。カワイイでしょ。

◇作例4……「偽装」に本物を使う!

 今までの作例すべて、「松をミリオグラタスで代用させる以外は、全部正月テイストのあるものを使う」という、周りを本物にすることによって、松が偽者であることに気づかせない戦法で作ってきました。最後に、究極の「松の偽装を隠蔽するアイテム」を出しましょう。
 そのアイテムとは、「本物の松の一部分」です。

↓松ぼっくりの力を借りました。

 小ぶりの松ぼっくりを拾っておいて、当然のようにミリオに乗っけてしまいます。少し花を知っている人なら見抜きますが、素人はこれでほとんどだませます。卑怯だろ!くらいのアイテムですからね。

 この、松ぼっくり作戦は、ミリオだけではなくて、ほかのものにも応用可能です。
 つまり、グリーンのものに松ぼっくりをつけておいたら、なんとなく「正月っぽいテイスト出てる」と感じられるものにはなります。「なんちゃって」だけど、季節行事のしつらえで、「なんちゃって」などいくらでもあるのです。現に、お飾りのダイダイとか、作り物も多いじゃないですか。
 そういう、「なんちゃって」でいいので楽しく生けよう、と思うなら、拾っておいた松ぼっくりに、お正月テイストのすべてを委任するのもアリです。

 そういうときには、堂々とやるのが、成功する秘訣ですよ。コソコソやると、「あの人詐欺師か?」ってことになります。偽装するなら、偽装の可愛さを疑わないことです!


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