◆草月プラザ内作業の注意点

 こちらのページ⇒草月会館に遊びに行ってみよう や、草月プラザ でも紹介していますが、東京青山の草月会館一階には、「草月プラザ」と呼ばれる石庭(屋内の石庭です)があります。この石庭は、イサム・ノグチ製作の、それ自身が芸術品と言えるものでして、石庭だけをのぞいて帰っていく外国の観光客さんもおられます。

 この石庭は、通称「天国(Tengoku)」と言います。ややこしいようですが、場所としては「草月プラザ」であり、作品名としては「天国」なんです。しかし、知っている人は、「プラザ」でも「天国」でも、どっちでも通じるので、みんなごちゃごちゃの呼び方をしています。

 このページでは、プラザ(天国)の中で作業する際の注意点を、管理人の個人的メモも兼ねて記録しておこうと思います。
 流外の人には、「イサム・ノグチの石庭の中で、どんな作業をする必要があるんだ?」と思われるかもしれませんが、草月プラザは、イベント用に貸し出されているスペースなんです。そして、草月流のイベントが、プラザ内で行われることもありますので、草月流門弟で、「プラザの中でイベントの準備をした」経験のある人は少なくありません。私自身も、今思い出せる限りで、最低6回くらいはプラザ内で作業をしています。規制の多い場所ですので、作業に入る予定のある方は、参考になさってください。
※草月プラザ内の規定については、変更になる可能性があります。この記事内の記載と、草月会館側からの説明に相違がある場合は、必ず草月会館側の指示に従い、運営組織のアナウンスを最新のものとお考えください。

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◇「プラザの使用規定」が配布されたら、必ず読む

 プラザの使用規定文章を渡されたときは、面倒くさがらずに、一回は読んでください。もしも、ご自身がイベントの主催者なのであれば、熟読してください。
 読んで、不明点があれば、確認しましょう。イベントの参加者の身分であれば、イベントを運営する人たちに聞いてください。自分自身がイベント主催者であれば、本部の担当部門に問い合わせてください。知人に、かつてプラザを使用した人がいれば、その人に聞くのも参考になりますが、本当に大切なことは会館の担当者に確認した方が良いです(運営方針が変わっているかもしれないので)。
 また、もしも「この表現・この書き方では誰も分からんだろう」と思うことがあれば、どんどんその旨会館の担当者に伝えて良いと思います。あなたが読んで悩むことは、次回使用者も読んで悩み、問い合わせるハメになるかもしれないのですから、使用者・会館担当者双方の時間の節約に繋がると思います。

◇プラザ内での「注意事項」がアナウンスされたら、必ず聞く

 文章ではなく、口頭での案内がある場合は、必ず聞きましょう。口で言われることの多くは、「本当にやったらダメなこと」を含んでいますので、後から「聞いてなかった」では済まされません。

◇プラザの使用規定がうるさいのは、「天国」の価値を守るためである

 現在では、プラザ=「天国」自体が貴重なイサム作品であり、芸術品です。本当にプラザの美観だけを守ろうと思うなら、立ち入り禁止にして、外から眺めるようにするべきなのかもしれません(文化財指定のお庭のように)。
 しかし、「天国」は、創造性のために場を提供する使命を持って作られたものです。あそこで、草月の花を生けることを禁じるのは、「天国」の目的にそぐわないのです。ですから、「そっとしておきたい」「開放したい」のジレンマを持った場所なんです。そのせいで、使用規定にはうるさいことを書かねばなりません。
 使う以上は、うるさい規定であっても守りましょう。守れないなら、使うのをやめましょう。

◇プラザ内は、飲食禁止

 プラザ内は、飲食禁止です。唯一持込を許されている飲料は、「ミネラルウォーター」です。
 お昼にプラザ内でお弁当を広げるのも当然ダメです。(あそこでお弁当にできたら便利なんだよな……というキモチはよお〜く分かります)

◇作業するときにはシートを敷こう

 作業スペースには、シートを敷きましょう。
 この程度の作業でシートなんか要らない、要るわけがない、と思ったとしても、私なら、敷きますね。作業の現場では何が起こるかわかりません。
 よくあるのが、軟らかい草花の茎が床に落ち、それを踏み、石の床に緑の跡が付く、というケースです。こすって落ちればいいですが、落ちなければ、最悪「専門業者にクリーニング依頼」などということになり、予期せぬ数万円が吹っ飛んでいくことも考えられます。
 そんなこと絶対にならないわよ、と思ったとしても、敷いた方がいいですよ。繰り返し申しますが、私なら敷きます。

◇プラザ内は、テープ類禁止

 これも、プラザの美しさを守るための決まりごとです。
 ガムテープも、布テープも、セロテープもダメです。そして、恐ろしいことには養生テープもダメです(私は、養生テープまで禁じられる現場はほかには知りません)。
 もちろん、プラザ内で、道具とか、作品のために使うのは問題ありません。プラザの床に敷いたシートをテープで固定しようとか、プラザの石自体にテープを貼るのがダメなだけです。

◇落下に注意!!

 「天国」を見たことがある方は分かると思いますが、全体の構造としては、石の段段でできています。
 つまり、プラザ内は、高低差がたくさんあるので、人や物が落ちるような場所もたくさんあります。
 もちろん、プラザ内を鑑賞目的で歩いていて落ちるような危険箇所など無いのですが、作品を創っている最中は、皆さん夢中になって、後ろが階段だということも忘れて後ずさりしたりします。
 そうやって、「夢中になったがための、人・物の落下事件」を起こさないようにご注意ください。
 今のところ、落下してけが人が出たとの話しは聞いたことがありませんが、もしも落ちたら、床が石だけに大事になる可能性があります。特に、製作メンバーの中に、高齢の方がいる場合は要注意です。

◇特殊な作業や、大掛かりな作業を行うときには、一応事務方の許可を取る

 プラザ内で、特殊な作業をしたり、巨大なものを搬入するような場合は、事前に事務方にことわっておく方が無難です。
 事務方には、レンタル契約する際に、「何事が行われるのか」を企画書で把握してもらうのですが、そこで伝え切れなかったことや、後から特殊な事情が加わったことなどがあれば、連絡した方がいいです。
 もしも、企画書を見た担当者から、「これは、どのような作業ですか」と聞かれることがあったら、適当にかわさずに、本当のところを答えてください。虚偽の作業申告をしても、担当者は作業当日には現場チェックにちょいちょいやってくるので、嘘を言ってもばれます。

◇社中展や、グループ展で使うなら、保険をかけることを考えよう

 本部主催のイベントでプラザに入るのではなく、自分(たち)がレンタル料を払ってプラザを借りる場合は、イベントのたった数日間ですが、保険にはいることを検討するのがよろしいと思います。
 今まで散々書いてきたように、プラザはそれ自体が価値ある創作物です。そして、素材も特殊ですので、何かあったときに、弁償するハメになった場合、通常では考えられない高額を請求される危険性があります。
 そんなときのために、保険をかけることをあらかじめ考えましょう。迷ったら、会館の担当者や、プラザ使用経験者に聞いてみるのが良いと思います。
「こういう内容だが、保険に入る必要があるだろうか」
「いくらくらいの保険に入るべきだろうか」
「できれば、保険会社を紹介してもらえないだろうか」
など、実際的なことも質問してみましょう。

◇作業時以外は、通路でない場所に入らない

 プラザには、「お客さんが歩くスペース」と、「普通は、お客さんは立ち入らないスペース」があります。
 お客さんが歩くスペースは、平らな石の部分です。そこからちょっと盛り上がった石の部分には、普通の神経のお客さんだったら立ち入りません。そういう、人が普通は上がらない石の上に、作品展示作業中には、普通に上がることになります。
 しかし、そこに立ち入る必要が無くなったら、作業時間内であってもむやみに立ち入らないほうが良いです。作業中には、「やむを得ず入っている」くらいの意識でいたほうが良いと思います。相手は、美術品ですから。(相当こまかい人でも、作業中に「特殊な場所意識」はどんどん薄れていきます)
 絶対にやってはいけないのは、開場時間中に、お客さんの前で石の上に上がってしまうことですね。見た人が、「上がっていいんだ」ってことになってしまいます(場所によっては、通路とほとんど高さの差が無いところもありますので、誰でも上がれます)。それを、小学生男子にでも見られたら、やつらはどれだけ喜んで石によじ登るか、知れたものではありません。慣れで、変なところに入ってしまわないようにしましょう。

◇物を壊したら、即刻申告せよ

 私は、「プラザ自体を破損させた人がいる」とは聞いたことが無いので、多分、今までにプラザ破壊(小さい部分でも)の例は無いものと思っています。
 もしも、破壊第一号になってしまったとしたら(絶対にそうはならない覚悟で使いましょう)、すぐに事務方に申し出ましょう。どんなに怒られようが、自分たちの落ち度であれば、逃げるわけには行きません。隠しても、プラザの使用後チェックでばれるのです。
 例を知らないので、私の想像ですが、壊してしまった人は補修の実費を請求され、恐らくは、「二度とお貸しできない」と言われるんじゃないかと思います(想像です)。
 草月門弟でそんなことをしてしまったら、門下の評判も落ちると思うので、本当に気をつけましょう。

◇水漏れに注意

 定かでない情報ですが、「かつて、水漏れしたことがあった」という話しを聞いたことがあります。いけばなのイベントであれば、水を使う機会は多いので、これも注意しましょう。
 バケツ一杯倒したくらいでは、まず問題は無いです(でも、水で滑るので、こぼさないように注意しましょう)。巨大花器の水漏れなどが、一番危険です。大きな花器からじわじわと水がもれて全部出ちゃったような場合には、「その場では気付かず、翌日の朝に地下ホールに水が落ちて発覚」という、最悪の結末が待っています。
 いけこみ時には、怪しい水濡れが無いかどうかチェックしましょう。

◇プラザ=「天国」は憧れの場所である

 なんだか、怖いような注意事項ばかり書いてしまいましたが、心して臨む場所だということで、勘弁してください。すべては、イベントの最後に「大成功だった」と言いたいがための注意事項です。
 いろいろと気を使う必要があり、生けるのが難しい場所(ダニエル・オストでさえ、「場所に負けた」と言われました)でもありますが、草月人にとっては、プラザは憧れの場所です。以前は、家元と大幹部くらいしか、プラザで生けられる人はいませんでしたが、現在は会員にも使用申し込みができるようになりました(審査はあります)。
 プラザで生ける機会を得られたなら、つまらぬことでお叱りを受けずに、作品に集中したいものです。


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