◆草月資料室の使い方

 草月会館の4階には、「資料室」なるものがあります。しかし、この存在を知っている人はほとんどおらず、使い方を知っている人は、もっと居ません。(正直、出版部と私しか使ってないんじゃないでしょうか)
 頻繁に草月会館に出入りしている人でさえ知らない、神秘のヴェールに包まれた資料室の使い方と、その全貌をお伝えいたしましょう。

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◇資料室の入り口は、いつでも閉まっている!

 資料室に行くには、まず4階に上がります。4階というのは、花器と本の売店があるフロアです。「あそこに資料室なんて無いでしょ?」と思われる方が多いと思いますが、花器コーナーと書店コーナーの真ん中の通路が突き当たるところに、ドアがあって、しっかりと「草月資料室」と書いてあります。
 しかし、このドアが大抵いつでも閉まっていて、開けたらいけないようなオーラを放っています。

 ところが、実はここをバンバン開けて中に入っていいのです。(「閲覧自由」とか、書いてあればいいのにね)ドアを開けるときには、ノックして、「失礼しまーす」くらい言った方がいいです。なぜなら、滅多に会員が立ち入る場所で無いからか、入って行くと、事務の女性が驚くみたいなんです。

◇閲覧は、誰でも自由にできる(身分証明の必要なし)

 ドアの向こうには、部屋が二つあります。向かって左が事務室で、女性の方が一人おられます。 向かって右が、目指す資料室です。
 事務の女性に、「資料室使います〜」とか声をかけ、勝手にどんどん資料室に入って大丈夫です。会員証の提示も、入室のサインも、何も求められません。つまり、草月の人であろうがなかろうが、閲覧は自由です。
 確か、10年以上前は、名前と住所か何か書かされた記憶があるのですが、最近では廃止になったようです。(私が顔パスになったわけじゃないです。私も、年に数回しか行きませんから)

◇資料室の中は、「図書館」よりも「倉庫」に近い

 資料室の中は、部屋のほとんどが、移動式の書庫で占められています。ハンドルを回して棚を動かす式の書庫で、人が棚の間に入りたいときは、ハンドルを回して通路を作るんです。(通路を一つ開ければ、ほかの通路がふさがります)
 これは、図書館などで見かける「書棚」ではありません。会社の地下の倉庫とかで、よくお目にかかるタイプの棚です。
 要するに、棚の間を複数の人が自由に歩くことを想定していない資料室なんです。「図書館」をイメージせずに、「倉庫」をイメージしてお出かけください。
(「倉庫」っぽいですが、埃っぽくはないです)

◇閲覧のための「席」は無い!

 なにぶん「倉庫風」ですから、図書館のように、座って勉強できる机や椅子はありません。
 部屋の隅っこの方に、積み重ねられた椅子があることはありますが、「閲覧者用」とは思えません。きっと、よそで置き場が無い椅子を、押し込んであるだけだと私は思います。
 しかし、何か置こうとすると、その椅子しかありませんので、遠慮せずに勝手に一個取ってきて、荷物置き場、取り出した資料の置き場、腰掛け場所などに利用しましょう。使った後は、元の場所に戻しておきましょう。

◇どのような資料が揃っているのか

 資料室そのものが、そんなに大きな部屋ではなく、「膨大な」資料が揃っているとは言えません。しかし、私が年に何度か出動していく程度の「有用性」は確かにあります。

 棚の半分くらいは、いけばなの資料というよりは、美術関係の資料が詰まっています。和洋を問わず、全集・研究書などの美術関連書籍が揃い、いけばなの会館の資料室としては、「美術書をよく集めたね」と言えるかもしれませんが、正直、あの程度の資料なら、街の図書館で事足りる程度のものです。
 本当に使えるのは、やはりいけばな関連書籍ですね。全集・作品集はよく網羅されていて(他流の書籍も、わけ隔てなく揃っています)、私のように「高価な本を揃いでなんか買えない」という人は、わざわざ行って見る価値があります。
 そして、古い資料である「いけばな芸術誌」や、「いけばな批評誌」が見られます。これは、今、古書市場で探そうとすると、なかなか苦労する雑誌ですが、会館に行けば見られると思って、私は「批評誌」の方は買っていません。(「芸術誌」は入手しちゃった)
 あと、個人の方の、いわゆる「私家版」の出版物がよく集まっていますし、いけばなに関連するジャーナリスティックな書籍は、非常によく揃っていると思います。
 つまり、高い資料性を求めている人には、結構使える資料室ではあるのです。

◇コピーサービス有り

 資料をコピーするさいには、隣の事務室に声をかければ頼むことができます。多分、一枚10円くらいです。(最近行ってもコピーしないので、ちょっとあやふや)

◇貸し出しはお断り

 図書館ではありませんので、貸し出しシステムはありません。しかし、書籍の出版目的とか、いけばなのイベントのために提供を求めたいような場合は、しかるべき窓口を通じて申し込めば、可能ではないかと思います。

◇資料のデータ検索は、あまり期待しないで

 よく、図書館などでは、欲しい本を検索できる端末がありますよね。私は、もちろん「資料室に検索用端末を置け」とは言いませんが、隣の事務室には、当然資料のデータベースがあるものと思っていました。
 しかし、あるとき検索してもらおうとしたら、「棚に無ければ無いです」と言われました。
 私はなおも、「誰かが使っているかもしれないですよね。有るのか無いのかだけでも知りたいので、データベースで検索してもらえませんか」と言ってみましたが、
「棚に無ければ無いし、それ以上のことは調べられない」
と言われました。
 私は、データベースは無いか、あっても長年メンテナンスしていなくて、実質は機能していないとか、そういうことではないのかと疑っています。
(私に言えば、喜んでデータベース作ってあげるのに!)

◇結論

 要するに草月資料室は、なんとな〜く、「きれいなお花の本でも見ようか」と言って行く場所ではありません。目的を持って、資料を探求したい人にこそ、最も使える資料室です。
 ただし、会館に行ったついでに、「なんとなく」な気持ちで見に行くのは、とてもよろしいと思いますので、よく会館に通う方は、時間があったらのぞいてみてください。(のぞく人が増えれば、もっと整理されると思うんだよな……)

◇余計な情報

 資料室にある、川端康成「女であること(一)(二)」新潮社は、私が早稲田の古本屋で見つけてきて、私の先生を通じて資料室に提供したものです。なぜカワバタの小説が?と思われるでしょうが、「装丁:勅使河原霞」なのです。


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