◆草月展指定花屋を使いこなす その4

前の記事とあわせてお読みください

 この記事は、草月展初心者で、ハナモ&花判の注文も未体験、という方を対象とした記事です。ハナモ・花判のスタッフさんとツーカーの大ベテランの方には不要の記事ですので、飛ばしてください。
 草月展・ハナモ・花判のいずれもよく知らない方は、どうぞ参考になさってください。

※草月展とは、秋の草月流展(日本橋高島屋にて開催)のことを指します

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◆一部花材のみ、指定花屋で買うこともできる

 指定花屋を使う場合、使用花材のすべてを注文しなければならない決まりなどありません。
 つまり、「イイギリの大枝は指定花屋に注文し、スプレー菊30本は家の近所の花屋で買う」というような調達方法をしてもいいのです。もちろん、ありきたりな花材も含め、一切合財を指定花屋で買ってもいいので、「つまらない花を指定花屋に頼んだらいけないのか」と思う必要はありません。

 自分の実例を出しますと、私はこの作品の、ダリアだけを花判で買い、松は最も親しくしている花屋さんから買いました。
 そうした理由は、「大王松なんか指定花屋に頼んだら、アタシ破産する!」と思ったからです。しかも、松は事前準備があったので、生けこみの数日前にゲットする必要があり、それなら「いつもお願いしている、あの花屋さんに頼もう」ということになりました。
 黒蝶(ダリアの品種です)は弱いので、生けこみ会場に直に持っていって欲しかったので、花判に頼んで本当に助かりました。

 要するに、自分にとって、最も都合の良い発注先に花を頼めばいいのであって、難しく考える必要はありません。指定花屋の職人さんに、別の花屋の花を抱えているところを見られたって、後ろめたく思うことはありません。指定花屋は、自分たちの商品の特殊性をよく分かっていますから、「よそで出来ないことをうちに頼みな!」くらいの気概を持っているはずです。

◆別の花屋を「保険」にすることも考えよう

 この方法は、絶対にやれとは言いませんが、予算と気持ちと荷物に余裕があるなら、考えて損は無い方法です。

 たとえば、ある葉ものを指定花屋に注文したとしましょう。それも、葉の大きさに特にこだわって注文したとしましょう。もちろん、作品上、大きさにこだわる理由があって、そうしたのだとしましょう。
 しかし、植物は大量生産品とは違います。指定花屋は、最良の大きさのものを入れてくれるのかどうか、生けこみ当日まで分からないのです。
 もしも、当日になって博打を打つのがイヤだと思うなら、別の花屋からも同じ葉を買い、それを持って会場入りすることを考えましょう。
 もしかしたら、指定花屋は、ベストな大きさの葉を入荷しているかもしれません。そうすると、別途持ち込んだ葉は無駄になり、余計な出費が発生します。でも、ベストじゃなかったとしたら、保険で命拾いするかもしれないのです。

 「保険」を、大量に用意する必要はありません。本人が、「このくらいは無駄になってもあ〜あで済む」と思う範囲で良いと思います。ということは、本人が「保険いらない」と思えば、かけなくていいとも言えます。
 実を言えば、私は今までに、指定花屋を使って保険をかけたことはありません。毎回、「これは、保険なくても大丈夫」と思える注文だったからです。しかし、先輩や仲間たちが、保険で助かっているのは山ほど見てきました。
 なので、かけるかどうか、検討する価値はあると思っています。

◆指定花屋を使う最大のメリットは、「生けこみ会場直納品」

 指定花屋は、何が良いと言って、これが一番良いのです。だって、「出品者が生け込み会場に行ったら、花席で花材が待っていてくれる」のですから、こんな便利なことはありません。

 花展の花材は、大型のものも多いですから、家から輸送するなら、赤帽を頼まなければならないことも珍しくありません。私は、草月展では赤帽を使ったことは無いですが、タクシーならほぼ毎回使います。(うちは都内なので、まだそんなことができるだけ良い方なのです)タクシー代に使うお金を、花材費に回してグレードを上げた方がいいのかな、とよく思います。

 それを、指定花屋の直納品だったら、生けこみ荷物だけ持って、悠々と電車で出かけられるのです。草月流展出品マニュアル6 にも書いていますが、「大物アリの搬入」というのは、本当に面倒なのです。このストレスを無くすためだけに、指定花屋を使う人も多いはずです。
 OLさんが出品しようとするときにも、このメリットは大変有効で、指定花屋に頼めば、会社を休まなくて済む場合があります。生けこみの日に休めないという理由で、出品を諦めようとしている方は、「指定花屋で直納品」ならば乗り切れるのではないかと検討してみてください。

 花材が会場で待っていてくれるのは、生けこみ日だけのサービスではありません。会期中、指定花屋は必ず毎日会場に入ります。なので、「二日目の朝に、取替用の花を20本入れて」とかも頼めるのです。せっかく指定花屋を使うのであれば、どんどん便利なサービスを受けましょう。

◆注文主の意向にピッタリな花が来るとは限らない

 高級生花店の納品といえども、注文主の意向に添わない場合もあり得ます。会場で、「え、違うんですけど」とあわてる注文主もいるのです。

 もちろん、ヒマワリの注文にバラが来るような「違います」ではありません。聞いてみると、花材のサイズ・勢い・テイストが、注文主の思ったものと合致しないということがほとんどです。

「うちの稽古場にはもうちょっと長いのがよく来るので、そういうのを予定していた」
「下生け用の枝の方が立派だったなんてどういうこと」
「風格があって良いんだけど、軸が太すぎてバランスが変わってしまった……」

↑こんな不満は、よく聞くところです。結局、花は生きものなので、そのときに入ったものでやるのがいけばなだと思い、すべてを「想定内」と言える余裕がある先生の方がかっこいいです。注文に外せないポイントがあるなら必ず伝え、自分のイメージを花屋にうまく伝える努力をし、それでも何かが合致しなかったのであれば、仕方が無いです。

 ただし、本当に花屋の側に落ち度があるのであれば、ハナモ・花判だからと言って遠慮することなく、「こういう状況なのだが、どういうことなのだろう」と、ビジネスライクに申告しましょう。よくない品が入っていた場合も同様です。
 しかし、強気に出るのであれば、完全に向こうが悪いというネタを上げてからがいいですよ。
 私の見た範囲では、「そんな注文じゃあ伝わらないよ」と思うような発注をしていたり、開いていて当然の花を「開いちゃってる」と文句を言ったり、ちょっとズレたことを言ってくるお客さんは、花の先生の中にも多いです。
 自分が無知なのに、ズレたことで怒ってくる先生は、多分花屋はマークすると思います。

 ハナモ・花判の休憩所で、「またあの先生か」と言われるのはやめましょうね。私は聞きたくありません。

》》次の記事に続く!


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