◆いけばな系……草月流師範

 いけばな関係の資格のご紹介です。

◇草月流師範:概要

 草月流の発行しているお免状です。
 草月流の資格には、12段階あり、下から

4級修業証→3級修業証→2級修業証→1級修業証→
4級師範証→3級師範証→2級師範証参与→2級師範証常任参与→1級師範証総務→1級師範証常任総務→1級師範証顧問→1級師範証理事

 と、なっています。上記の中で、「師範」と呼べるのは、赤字で書いたものだけです。黒字の証書と、赤字の証書の違いは、教えられるかどうかです。赤字の「4級師範証」以上の人は、公に「草月流」を名乗ってお弟子さんを集めることができますし、お弟子さんにお免状を出してあげることもできます。
 お免状を出せる範囲は、自分が持っているお免状の一つ前まで。つまり、「3級師範証」を持っている人は、自分のお弟子さんがどんなに上手くても、「4級師範証」までしかとってあげられません。(先生より弟子の階級の方が上というのは、普通はありえませんから)

 しかし、特にお免状を出すつもりが無ければ、師範証など無くても教えることは可能です。
 だって、お料理が好きな友達の家に行って、「料理教えて」って言うのを、誰も止める権利はありませんよね。それと同じことで、教えられる側にも、教える側にも、正式な草月流のお免状のやり取りは無い、との合意があれば、師範免状は必ずしも必要なものではありません。(師範免状を持ってないのに、「草月流免状発行可」と謳って弟子を取るのはダメです!)

 お免状は、一度取り始めたら最後まで取るというものでもなく、個人の意思で「ここまで」と思うところまで取れば良いと思います。ただいけばなを楽しみたいだけなら、一つも取らなくたって不都合は無いのです。
 管理人の、完全なる「個人の感覚」としては、「お! 本格的やってるな」と感じるのは「2級師範」くらいからですかね……。しかし、これは流内の人間の感覚なので、世間的には「師範」と名のつく免状であれば、どれでも「すごいね!」って言われる対象かもしれません。

 草月流師範は、管理人自身が持っているので、他の流派の免状よりも詳しめに紹介できます。草月流入門をご検討の方は、以下の解説をどうぞご参考に。

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◇草月流は、「お免状」とか「証書」という言い方がスタンダード

 免状のことを、なんと呼ぶかは、各流派でクセがあるというか、習慣の違いがあるのですが、草月流では「免許」という言い方は基本的にはしません。
 大体、「免状」とか「お免状」と言いますね。たまに、「証書」という人がいます。書面の正確な名称を言うなら、下に貼ってある画像を見てもらえば分かりますが、単に「修業証明」です。
 また、よく世間で言われる「免許皆伝」という言葉も、草月では使う習慣がありませんので、師範証を取っても、「私は草月流の免許皆伝です」という人はまず居ません。(すべて、習慣のものなので、「なぜ?」と聞かれても困ります)

◇草月流師範を取るには、テキストに沿った勉強からスタートする

※テキスト代の情報は、2013年現在

 草月流の、正式な免状取得のコースに入門すると、まず最初に「テキスト1・2」(税込1,575円)という教科書を使って勉強を始めます。「テキスト1・2」は、「テキスト1」と「テキスト2」に分かれていて、それぞれに、基本の花型+自由生けで、20単位を取れるようになっています。(つまり、1と2を合わせて40単位あります)単位を取るごとに、先生が教科書に印を押し、「テキスト1」が終わった段階で4級修業証が、「テキスト2」が終わった段階で3級修業証が申請可能です。(お免状を申請しなくても、テキストを進めていけます)

 「テキスト1・2」が終わった人は、「テキスト3・4」(税込1,575円)に進みます。「テキスト3・4」も、「テキスト1・2」と同様に、中で「3と4」に分かれています。
 型の勉強は、「テキスト2」までで終わるので、「テキスト3・4」はテーマを与えられて自由に生ける授業を、それぞれ20単位受けます。
 「テキスト3」が終われば、2級修業証を、「テキスト4」が終われば1級修業証を申請できます。
 入門から、1級修業証にいたるまで、全部で80単位ありますので、仮に、月に3回お稽古に通い、毎回1単位こなすとすると、2年ちょっとくらいかかる計算になります。

 ……という、テキストの勉強は、終了してもまだ「師範免状」には届きません。師範証を取るには、下の項で書いているように、さらに勉強が必要です。

◇テキスト終了の後には、自主的な勉強を

※現在、草月流には「テキスト5」があります。それについては、後日追記します

 「テキスト4」を終了すると、その先には教科書的なものはなく、自主的にテーマを見つけて勉強を重ねていくことになります。先生が、「師範生の資格あり」と判断した時点で、4級師範が申請可能となります。この時点で、晴れて「草月流師範」となれます。
 その後は、1級師範証常任総務までは、先生の判断で、無試験で昇格していきます。途中、級を飛ばすことはできず、必ずすべての級を経て行く必要があります。

 昇格していくタイミングというものは、具体的な要件が定められているわけではなく、その教室の先生の考え方により、かなり異なる場合があります。要するに、免状をパッパパッパと出す先生もいれば、なかなか出してくれない先生もいるのです。
 また、教わるお弟子さん側にも、「どんどん上の級が欲しい人」と、「免状に興味ないです」という人がいるので、平均的な昇格のスピードというものはありません。完全に、「一人ひとりスピードは違う」と言い切れるレベルです。(ちなみに、管理人自身が、最初の免状から最後の免状までをどのくらいで取ったか、どういう考えで取ったかは、下に別項を設けています)

◇草月流理事・顧問の資格は、試験あり

 草月流の、上位二つの資格である1級師範顧問・1級師範理事だけは、昇格のための試験があります。
 (以下、2012年12月現在の情報)顧問試験、理事試験は、毎年1回行われます。顧問、理事のいずれも、実技試験1テーマ(剣山なしで水盤に生ける)筆記試験2テーマ(花型図&小論文)です。合格率は非常に高いので、自信を持って合格発表をお待ちください。

●理事・顧問の資格試験について、更に詳しい情報を……
 当サイトの、いけばな草月流のカテゴリで、理事・顧問試験の対策ページをご用意しております。多分、世界一詳しい解説ではないかと思います。受験予定の方はご参考に。
 草月流:理事・顧問試験突破マニュアル【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】

◇参考その1:レッスン料金は、各教室でいろいろ

 草月流のレッスン料は、各稽古場で異なります。ネットや、お稽古情報雑誌などで複数の教室を探して比較してみるとよいでしょう。↓のサイトなどをご参考にどうぞ。

いけばな草月流公式サイト……草月流本部主催教室の紹介や、全国各地のお稽古場検索あり。
草月流教室:ケイコとマナブで探す……ご存知、習い事・スクールの情報誌「ケイコとマナブ」のWeb版。草月流の教室・講座の情報は、常時20件ほど出ています。

◇参考その2:「草月流師範」の資格は、他流より得な資格なのか?

  草月流いけばな自体に興味があって、そのために「草月で免状を取ろう」と考えている人は、あまり損得を考えている人はいないと思いますが(私もそうでしたが)、
「何かしら、花の資格を取りたい」→「それにより、趣味を超えて仕事にもできる可能性を手に入れたい」→「だったら、どの資格を取るのが有利なんだろう」
という考えで、花の資格取得を検討する人もいるでしょう。
 そういう人に、
「草月の資格って、いいの?」
と聞かれたとしたら、私なら、
「有利か、という意味では、なんとも言えない」
としか答えられません。

 私は、自分が草月のいけばなのおかげで人生楽しかったし、仕事にもなったので、「私には、かなりいい選択だったっぽい」ということは言えます。
 しかし、この私でも、「絶対的に、最良の選択であった」とは言えません。私の場合、仕事にできたのは、運がよかっただけみたいな要素が強いのです。
 一緒に楽しくやろうよ、という意味では、「ぜひ、草月でいけばなやろうよ」と言いたいですが、「得になるので、こっちにおいで」とは言えませんね。これ、教室を持ち、作品納品もしている人間のリアルな気持ちですので(重いぞ!)、ご参考に。

 ただ、いけばなの資格で、どこが有利なのだろうと考えた場合、「草月」というのは、悪くは無い選択だと思います。三大流派の一つですし、実力本位制を認める土壌のある流ですし、新しいことや目立つことを歓迎する流なので、腕一つで挑戦してみようと思うなら、やりがいを見出せるのではないでしょうか。
 また、関東に住んでいる人にとっては、関西発祥の流派よりも、東京で生まれた草月流のほうが、気軽に本部へ行けるのが楽です。「本部が近いほうが楽」と実感するのは、かなり本格的に習い始めてから思うことなのですが、現在東京に住んでいる私は、「草月の本部が東京で、本当に良かった」と思っています。東京が本部の草月流は、流の一番大きい展覧会も、家元に指導を受けられる講座も、主に東京で行われます。地方の熱心な先生方は、大きな時間と交通費をかけて東京まで来るのです。もしも私が地方に住んでいたら、そんなことはできずに、本当は参加したい展覧会や講座を、ほとんどあきらめてしまっていたでしょう。
 いけばな流派で、東京に本部がある流は貴重ですので、東京に近いところに住んでいる人にとっては、草月は「交通費と移動時間がだいぶ浮く」と言えます。

 他流よりも、早く師範免状が取れるかどうかということについては、私は「多分、どこの流派も似たり寄ったりの時間がかかる」と思っていますので、特に草月が早く取れるとは思いません。(他流から流れてきた人というのは、流内にも同門にも結構いらっしゃいますが、「草月のシステムは、免状取得が早い」という話しは聞いたことがありません)

◇参考その3:いつ「名前」をもらえるか

 いけばなの名前、いわゆる雅号というやつがあります。
 私には、あまり分からない感覚なのですが、「名前を貰うまで頑張ろう」と思って、いけばなを習う人は、なかなか大勢いらっしゃるものなのです。「雅号をもらえる」=「立派な技術を習得した証」という考え方なのだろうと思います。
 草月では、雅号を本部に登録できるのは、1級修業証申請のときからです。つまり、師範になる前に、雅号は持てるのです。とりあえず雅号が欲しいだけなら、師範になる必要はありません。

◇参考その4:管理人は、何年かかって草月流のお免状を取ったか

 管理人自身が取ったお免状の画像を、参考までに載せてみます。一番古いお免状と、一番新しいお免状をの二枚にしてみました。つまり、一番下のお免状と、最高位のお免状です。(名前にはモザイクかけさせていただきました)

↓一番最初に取ったお免状。4級証です。
草月流 免状

↓一番上のお免状。理事の免状です。
草月流 師範 免状

 この二枚の免状は、大きさが大分違います。4級証は、25×15.5cm。理事免状は、52×37.5cmです。多分、理事免状の方は、普通の賞状額に入れやすい大きさになっているのかもしれません。
 免状を取った時期を見てみると、私は昭和56年に4級証を取ったことが分かります。私は、昭和53年入門ですので、最初の免状を取るのに、3年もかかりました。これは、ちょっと遅めのスピードです。
 理事の免状は、2008年に取りましたので、要するに、理事までの年月は、「入門後、30年」「4級証を取ってから、27年」かかったということになります。これは、正直、早かったのか遅かったのか、なんとも言えないスピードです。もっと早いスピードで取る人は実際にいると思います。しかし、理事は、取らない人は何十年たっても取らず、もう老い先短いなあと思ったときに、「人生の思い出に」と取る人がいるくらいですので、「このくらいの年月で取るのが妥当」と言い難いのです。
 ちなみに、私は30代で理事を取りましたが、この年齢は、「かなり早い」と言って良いと思います。

◇参考その5:理事は取るべきなのか……超ぶっちゃけコラムです

(管理人、超ぶっちゃけています)
 草月流の最高位は、「理事」です。だったら、草月流の門弟は、全員理事になる日を夢見て稽古しているのかと言えば、決してそうではありません。
 正直、私は理事免状は取らなくてもいいやと思っていました。取るまでに30年かかっているのはそのためで、「とにかく早く理事へ!」と思っていたなら、もう10年くらいスピードアップすることは可能だったと思います。
 私は、理事だけでなく、その前の免状の「顧問」も取らなくていいやと思っていて、長いこと試験を受けようというアクションを起こしませんでした。

 何ゆえ、「取らなくてもいいや」なのかと言えば、免状というものは、無料ではないからです。顧問・理事の免状を取るためにかかる金額は、ここには具体的には書きませんが(草月流本部に怒られると思うので)、私の経済感覚からすると、遊びで出せるお金ではありません。相当、本気にならなければ、少なくとも私は出す気になれない額です。
 それを、私が出す気になったのは、「回収できる」と思ったからです。私は、草月流いけばなの稽古場を主催していますので、顧問・理事の免状に先行投資しても、回収する術があります。そうでなければ、私は死ぬまで顧問も理事も取らなかったかもしれません。

 私が思うに、顧問・理事のレベルになると、「プロですアピール」をしたくない(する必要が無い)人は、取らなくてもまったく困らないと思います。もちろん、自分の勉強した証が欲しいとか、理事免状くらいはした金だわ、という人は、遠慮なく取ってくれたほうが草月のためなんですけど、ものすご無理して取る免状ではないように思います。
 理事の免状を取らなくたって、草月流いけばなを楽しめますし、腕は磨けますし、いけばな創作に命をかけることだってできます。私のような、子供の頃から、ひたすらに草月のいけばなを愛してきた人間が、貪欲に欲しいとは思わなかったことが、その証明です。

◇参考その6:草月流の資格で仕事をしようと思うなら、1級師範までは取っておくのが安全かも

 上の項など読んでもらうと、分かる人にはわかると思いますが、私は「免状」というものを、それほど重要なものとは考えていません(師範理事がこんなことを言っていてはイケナイのですが)。それよりも、どれだけ良い作品が創れるのか、どれだけ楽しくいけばなできるのかという方が、ずっと大切なことのように思えます。

 なので私は、「最低限、ここまでは免状を取ったほうがいいよ」というラインも無いものと思っています。
 しかし、草月流の資格を持って、それで収入を得ようと真剣に考えている人には、「1級師範までは取って置くのが安全策」と言いたいと思います。(あくまでも、超マジで収入にしようとしている人向けです)

 これは、どういう基準で言っているのかというと、会社の華道部の先生として招かれる人や、カルチャースクールの講師募集を勝ち抜くために、必要な武器だろうと思うからです。世間的には、「2級師範以下」というのは、聞こえが悪いのか、「1級じゃないんだ」「上までたどり着いてないんだ」という評価になるのか、講師の選考で不利になるのです。
 多分、「1級」という響きだけのものっぽいのですが……なぜなら、1級さえ持っていれば、総務でも常任総務でも、そんなに違わない扱いですから……ホントに形式上のことなのかもしれないのですけど、それを満たせば世間が認めてくれるというなら、私は「1級師範総務でよいから、1級を持っていたらどうか」と思っています。

◇参考その7:草月流は、楽ちんの「クール&ドライ」

 いけばなの世界では、免状を取ると、「一緒に、あれもこれも買わされるハメになる」ということがあります。
 どこの流派か忘れましたが、免状を取ると、巻物みたいなものを買わなくちゃいないのよね、という話しをきいたことがあります。もちろん、それを承知しても「取りたい」と思う人が免状を取るのでしょう。
 あと、多分、お寺さんが母体になっている流派だったと思いますが、免状と一緒に袈裟を買うことになる流もあったと思います。

 わりとどこの流派でもあるのは、「看板」です。草月でも、師範を取ったタイミングなどで、「看板買います?」って聞かれることがありますが、草月は強制的に買わせることはありません(買わなきゃいけないのかと気を回して買っちゃう人がいますけど)。しかし、「免状と看板はセット」という流派も、きっとあるのだろうと思います。

 こういうことになると、草月はクールでドライですので、免状を取ったときに、あれもこれも買わされるということは無いです。免状料を払ったところに、追い討ちをかけるようなことは、しない派なんです。(もしかすると、記念に器を買えとかいう先生が、未だに田舎の方に存在するかも知れない)
 こういうところが、草月はとても助かります。クール&ドライは楽でいいです。軽い気持ちで、「私は看板いりません」と断ったら、後から裏で「非常識な人だわ」とか言われるなんて、やっていられませんもの!


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