◆いまや、お稽古自体よりも、sns用画像を撮ることの方が重要な人もいる

 お花のお稽古場で、自分で生けた作品をスマホやデジカメで撮影し、それをsnsにアップして楽しむ、花の技術習得よりも、どっちかというとsns用画像素材を作ることの方が重要である……という人もいると思います。
 私は、一応花の先生だったりしますが、それを「不真面目な!」などとは思いません。どんな目的でも花を楽しんでもらえたら嬉しいと思います。

 花の教室でお稽古画像を撮るときにこんな風にしたらどうかな、と、私が思っている項目を下に挙げてみます。難しい撮影テクニックの話ではなく、誰にでもできることしか書きませんので、今すぐ実践できると思います。

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◇大前提として、「ほかの生徒さんの迷惑になるような撮り方だけはやめようね!」

 まず最初に、これは大前提であり、絶対に守って欲しいことを書いておきますと、ほかの生徒さんや、会場や、講師の先生に迷惑をかけるような撮影は絶対にやめましょうね。
 これだけは、マジで気をつけてください。それを踏まえて、下の記事をお読みください。

◇背景がスッキリしている方が作品が映える

 作品のバックにゴチャゴチャしたものが写っているより、背景がスッキリしているほうが作品が映えます。できれば、背景のスッキリしたところで撮影しましょう。
 スッキリした背景の場所とは、無地の壁の前とか、ロールスクリーンを下ろしてもらった前などです。お稽古場によっては、「撮影用バック」を出してもらえるところもあるので、聞いてみましょう。

 実は、これは簡単なようで、会場によっては難しいこともあります。
 まず、スッキリした背景が、稽古の会場に存在しないことがあります。たとえば、花屋の倉庫みたいなところを間借りしている教室とか、先生の自宅の居間で教えているような教室だと、どこに花を置いても何かしら後ろに余計なものが写りこむ、ということがあるからです。
 そういう場合には、できないものは仕方ないとあきらめて、「最良の、スッキリした背景のあるポイント」で撮ってください。画像の加工ができる人は、後から背景をぼかしても良いでしょう。

 撮影するのは、作品を生けて、先生にきっちり批評してもらって、その後手直しなどもしてからがいいです。(批評前・批評後を並べるのも面白いけど)
 生けた作品を、撮影ポイントまで運んでから撮るのか、最初から「撮影に最適な席」を確保して、そこで「生ける→撮影する」を両方行うのかは、各教室の都合にあわせて決めてください。

 あと、すごく単純なことなのですが、撮る前に、作品の前に置いた鋏とか、切り落とした葉っぱが散らばっているのは、片付けてから撮りましょう。また、自分の荷物とか上着なども、写りこまないように気をつけましょう。これは、夢中になって生けて、夢中になって撮っている人ほど忘れがちなのです。

◇自然光が入る教室なら、窓の近くがいい

 お稽古の時間帯が昼間で、自然光が入る教室なのであれば、窓に近いところで自然光で撮った方が、自然な仕上がりになりやすいです。
 花の稽古は、屋内でするものなので、撮影するには光が足りないことが多いです。可能であれば、室内の光を良く見て、「こっちから光が入っているから、ここなら大丈夫じゃないかな」というポイントを見つけて撮ると良いです。

◇2カット以上撮る、別角度からも撮る

 できれば、1カットだけでなく、2カット以上撮っておきましょう。また、真正面からだけでなく、ちょい左からとか、ちょい右からなども撮れるたら撮りましょう。(隣の席の人の迷惑になるならあきらめて!)

 複数のカットの中から、一番良いものを選んでアップすれば良いと思います。花の作品にも、人物写真のように、「奇蹟的な美麗ショット」というものは存在します。
 実物より段違いなまでに、「プロい」「カッコイイ」「美しい」と言える写真はあり得るのです。「奇蹟の一作」が撮れたなら、ぜひそれをアップしましょう。

◇まっすぐ撮る、または、後からまっすぐに直す

 これは、私が人様のお稽古画像を見て感じることなのですが、なんか、曲がって撮れちゃってる写真が多いように思うのです。
 画像を撮るときには、意識的に「まっすぐ垂直に構えて撮ろう」とすれば、あまりにも曲がって撮れてしまうことはないと思います。花の作品は、フラワーアレンジだと「きっちり左右対象」が重要な作だったり、いけばなだと「すらっと立ち上がる枝」が重要な作だったりすることがあるので、左右どちらかに歪んだ画像だと、非常にもったいないと感じることがあるのです。
 画像ソフトを使える人は、曲がって撮れてしまった画像を、後からまっすぐに修正してもいいです。

◇画像ソフトで色やコントラストを修正

 撮ったまま、特に加工しない画像をアップしてもいいですが、画像ソフトで色味やコントラストを修正して作品に魅力が増すものなら、ソフトの力を借りるのも良い方法です。

◇作品が好きになれなかったら……

 せっかく稽古したけど、うまくいかなかったとか、先生には「良い」と言われたけど、自分的に好きじゃない作になったとか、どうも「これを生けたよ!」と、ババンと出したくないこともあると思います。
 そういうときには、あえて正面からの画像は撮らず、たとえば真横から撮ってみるとか、上から撮ってみるとか、いっそ真後ろから撮ってみるなどして、「ステキな花が生けられたよ!」という路線は捨て、「お稽古頑張ってま〜す」な路線に乗り換えてはどうでしょう。
 頑張ってお稽古している姿、何かを一生懸命やった姿は、それだけでも十分にステキです。

 自分の作品の全貌をあらわにしないお稽古画像の撮り方というのは、上記のほかにもいくつかあって、たとえば、
  • 花材の一部分に寄る(花でも実でも、葉っぱでもなんでもいいですが、特に美しくて特徴的な一部分がいいです)
  • 水を入れた花器の、水面に寄る(水面がきれいな場合のみ)
  • 花器に寄る(きれいな場合のみ)
  • いっそのこと、作品を完全な逆光で撮って、シルエットにしてしまう
などがあります。

◇「プロの花作家風」を気取るなら、鋏を撮れ!

 これは、私が個人的にオススメしているのですが、「鋏を握った手」の画像は、なにやらやたらにプロっぽく、職人感も、芸術家感も、求道者感も出て良いと思います!

 私は長いこと、いけばな界の重鎮と言える先生の付き人みたいなことをしているのですが、たまに、先生が雑誌に載ったりするときや、大きい仕事で撮影隊が同行するようなときなどに、たびたび「鋏を持った先生の手」をカメラマンが狙うのを見てきました。
 先生の顔も写さず、作品も写りこまず、自然に鋏を握った先生の手だけが、「これぞ、いけばな家の姿」といった写真になるのを、何度も見てきたのです。
 これを、素人が雰囲気だけマネしたっていいじゃありませんか! 

 鋏は、いつも使っているように握り、刃は開いていても、開いてなくてもどっちでもいいです。
 さらっと、かっこよく鋏画像を上げちゃってください。「やってるな!」という風情が出たら大成功です。

◇素人は、盛っても許される

 素人のお稽古写真を、自分のsnsにあげるだけなら、盛れるだけ盛ったらいいと思います。画像ソフトを使ったり、アプリを駆使したりして、実物から結構かけはなれたところまで行ってしまっても、なあ〜〜〜んにも悪いことはありません。

 プロのいけばな家が、実は超へたなのに、画像のかっこよさだけで「うまい人」のふりをするのは詐欺じゃんかと思いますが、素人ならそんなことは関係ありません。
 思う存分やっちゃってください。いろんな人が、いろんな楽しみ方を見出せるのが生活芸術の強みです。

◇あんまり浮かれて自撮りしてたらちょっと引くかも……

 花の教室で、自作をバックに自撮りする、という行為は、最近では珍しくなくなりました。
 私の教室にも、自作と自撮りする人はいます。私は特に禁じたことはありませんし、悪いと思ったこともありません。子供さんと花を一緒に撮るのなんかは、「お撮りになったら?」と、こっちから言っているくらいです。

 しかし……あまりにも浮かれて自撮りしてたら、引くかもしれません。自撮りするときには、空気を読みましょう。

 あと、自撮りではないですけど、「面白画像」の撮影はちょっとNGかな。花器にコップのフチ子を座らせたりとかは、教室ではやらないほうがいいです。家でやるなら、文句はありません。家で撮るなら、ふざけたいけばな写真をアップするのも、別に悪いとは思いません。

◇snsがお稽古のモチベーションアップにつながることだってあると思う

 こんな記事を書いている私ですが、実は、Instagramも、TwitterもFacebookも、何もやっておりません。(インスタの○○さんて、君がやってるんでしょ?とか言われたことが数限りなくありますが、私ではありません)
 なので、お稽古画像をsnsにアップしたい気持ちは、私は本当には分かっていないような気がします。(私が個人的な画像をアップするツールとしてはブログがあるのですが、実はブログにも、基本的にはお稽古画像はアップしないのです)

 分かっていない私が言うのもアレなのですが、お稽古そのものよりも、snsに画像アップすることを大事に思っている人がいても、いいんじゃないかと思います。
 私の教室の、体験教室に申し込んできて、入門にいたらなかったある人は、多分、snsの画像が欲しいだけみたいだったな……と思ったことがありました。でも、それが悪いとは私は思いません。
 花を習っているのに、花の技術はうまくならなくて、インスタ映えのテクだけ向上している人がいたとしても、それも全然OKだと思います。

 だって、広く人に晒せるということは、花を「ステキなもの」と認識してくれているからでしょ? 人に見せられない何かじゃないわけですよね。積極的に見せたい何か、ですよね?
 だったら、それで私は十分だと思います。いけばな画像をアップすることにハマった人の中には、何人か、「ステキな画像のために、もっとうまくなりたい」と思ってくれる人が現れるでしょう。そうしているうちに、いつかsnsを離れたところでも、花を愛してくれる人が現れるでしょう。

 もちろん、花に何の興味も持たないまま去っていく人もいると思います。でも、 「女のたしなみのため」や「和ものが好き」で花の教室に入る人の中にも、そんなに好きになれなくてやめていく人はいるんです。snsも、女のたしなみも関係なく、花とその人の相性で、「花を好きになるかどうか」は決まるのです。
 私なんか、母にだまされて花の教室に入れられて、気づいたらプロになっていました。だまし討ちきっかけも、snsきっかけも、そんなに変わらんでしょ? 花がたしかな魅力を持ったものであるなら、「画像が欲しいだけ」の人も、きっと振り向かせることができるでしょう。


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