◆花鋏・フラワー鋏は、どう選べばいいのか?

 花を習うときに、和のスタイルでも、洋のスタイルでも、必ず必要になる道具は「鋏」です。
 鋏は、おのれの手の一部のようにして使っていくものですので、はじめて購入する人は
「何を買えばいいのか」
「いくらくらいのものを買うものなのか」

という疑問をお持ちになると思います。

 そのような、鋏の選び方の疑問に答えていきたいと思います。

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◇フラワーアレンジメントは、ほぼこの二種類でイケる

 まず、フラワーアレンジメントの方から解説しましょう。
 私自身も、私の周囲のフラワーアレンジメント関係の人たちも、ほぼ、ハンドクリエーションクラフトチョキの二種類で事足りています。どちらか一つということではなく、二つとも持って、切るものにより使い分けます。

 ハンドクリエーションについては、当サイトのこちらの記事:坂源のハンドクリエーション を参照ください。管理人の愛用鋏であり、非常にお勧めです。値段は、ショップにより異なりますが、大体1,500円くらいです。
坂源 ハンドクリエーション

 クラフトチョキは、このような鋏でして、
クラフトチョキ
当サイトのこちらの記事でも紹介しています→クラフトチョキ

 チョキは、生花専用ではなく、広くクラフト関係に使える鋏として、手芸愛好家の皆さんも使っているような鋏なんですけど、これが、やわらかい草花などを切りやすく、なまった花鋏などより余程良いです。
 また、クラフト鋏なので、リボン・飾り紐・セロハン・ペーパーなども切りやすく、やわらかい軸の植物だけでアレンジを作るなら、チョキ一本で、植物カット・資材カットのすべてを済ませられることもあります。
 チョキの優れているのは、切れ味、軽さ(重量的にも軽く、使い心地も軽いです)、使い道が多様という三点です。値段は、大体1,300円くらいです。

 私は、上記の二つを持ち、固めのものを切るときにはハンドクリエーション、やわらかいものや紙類などを切るときにはチョキ、という風に使います。素材により厳密に使い分けているというより、そのときに快適に使える方を使う、という感じです。この二つを持っていたら、大概のフラワーアレンジメントには間に合います。初心者向けのお教室のレッスンならば、100%間に合うと言って良いと思います。
 2つ買うつもりはない(2つ買うと3,000円弱かかります)、一つで済ませたいんだけど……と思うなら、ハンドクリエーションだけにしましょう。ハンドクリエーションですべての植物を切り、紙などは、家にある文房具鋏で切りましょう。(チョキだけ買うと、少し固い植物を切る鋏がなくなります)

 ハンドクリエーションも、チョキも、研ぎなおして使う鋏ではありません。刃がだめになったら、新しいものに買いかえます。が、初心者から持ち始めて、月に2〜3回のレッスンをする程度なら、だめになるまでに何年もかかりますので、そんなに高い買い物ではありません。もしも、数年たつうちにフラワー教室をやめてしまっても、ハンドクリエーションは庭木を切るために役立ちますし、チョキは文房具鋏として、紙や紐などを切るのに日常的に使えます。

フラワー教室推奨の鋏があったら?

 通うフラワー教室で推奨されている鋏があったら、基本的にはそれを買えばいいです。
 もしも、推奨鋏がどうしても気に食わないとか、ほかの鋏を絶対に使いたいと思うなら、自分の使いたい鋏を買って、
「家にこの鋏があったので、とりあえずこれを使います」
という態で乗り切ればいいと思います。

◇いけばなの鋏は、わりと選択肢が多いので迷うかも……

 いけばな鋏は、フラワー鋏よりも様々なメーカー、値段帯のものが出回っているので、買うときに迷う人が多いです。
 私は、シンプルに自分が使いたいと思うものを買って使ってきまして、それで不都合などなかったので、本音を言うと、
「それぞれの好きなものでいいんじゃないですか」
と言いたいんですけど、「好きなものがないから選べないんだけど……」という人は、以下の項を参考になさってください。

◇完全なる初心者は、1,000円台でよし

「生まれてはじめていけばなを習うので、鋏を買いたい。
超初心者なので、鋏にこだわりなどない。
ぶっちゃけ、そんなに長く続けるかどうかも分からないので、安い鋏で十分と思っている……」
という方は、1,000円台の鋏を買いましょう。ホームセンターでもいいし、華道具屋に行ってもいいし、ネット通販でもいいし、稽古場で売っているものでもいいです。

 個人的には、自分が通う稽古場で売っている鋏の中の、一番安いものを買えばいいと思います。私なら、税抜きで2,000円を超えないものを選びます。それ以上高いものは、もう少しうまくなってからでもいいと思います。

 いけばなの場合、各流派の名称やマークの刻印が入っているものがあるので、「それでないといけないのか」と思う人もいますが、そういうのは好きずきでいいです。ちなみに、私は草月流門弟ですが、「草月鋏」を持ったことがありません。

【参考】
楽天市場の 「花鋏」
Yahoo!ショッピングの 「花鋏」

◇鋏の「形」は何がいい?

 花鋏には、大きく分けると、「わらび手」と「つる手」があります。

 わらび手は、こういう鋏です。

↑白い丸をつけた部分が、開く前のわらびみたいだから、「わらび手」の名があります。

 つる手はこういう鋏です。

 普通は、どちらか一方が、流派のスタンダードな鋏として使われています。こだわる理由がある人以外は、流派のスタンダードに乗っかった方がいいです。(私は乗っかっていないので、いろいろなところで人に「なんで?」って聞かれます。面倒くさいです)

 いけばな業界の、誰に聞いても同じことを言うと思いますが、わらび手とつる手に優劣は無いです。「どっちが正式」というのもありません。使い慣れれば、どちらも使いやすいのだと思います。ただ、鞄の中でより邪魔になるのは、完全に「つる手」の方です。

◇いけばな教室推奨の鋏があったら?

 フラワー教室の項を参照ください。一緒の考え方で大丈夫です。

◇買い替えどきはいつ?

 いけばな鋏は、研ぎなおせるので、職業的にガンガン使うのでなければ、大体10年以上は使用できます。参考までに管理人の例を言いますと、現在のいけばな歴は39年ですが、いけばな鋏は初心者時代から数えて三本目を使っており、10年以下の使用だった鋏はありません。

 10年以上使えるということは、最初の買い換えタイミングのときには、ほとんどの人がすでにズブの素人ではなくなっているということです。つまり、「買い替え時だな」というのが判断できるようになってから、実際の買い替え時が到来するので、「一体いつなんだろう?」と困る人はほぼ居ません。

「このはさみも長く使ったな。買い換えようか」
「これ以上研ぐより、新しいのを買おう」
「そろそろ、ちょっと良い鋏が欲しくなってきた」
「今の鋏よりも使い勝手の良さそうなものを見つけて、乗り換えたくなった」
 こんな風に、自発的に思うようになったら、そのときが買い替え時です。

◇二番目の鋏は、自分が思うままに買えばいい

 初心者から何歩か踏み出し、自発的に鋏を新調しようと思うときが来たら、自然と「次はこういう鋏が欲しい」というビジョンが描けるようになっていると思います。

 値段・大きさ・重さ・素材・メーカー・色、などの中で、自分はどれとどれにこだわるのか、というところが確立されてきているはずです。
 こだわるのは一点でも良くて、たとえば、「今使っている鋏よりも上位の鋏であれば、ほかは特にこだわりなし」でもいいのです。
 そのような、自分の思うビジョンを、忠実に探して買えばそれでオールOKです。

 鋏は、いけばな人が、かなり個人的に付き合う道具です。そのため、各ユーザーの「良いと思う基準・絶対に欲しい要素」が、それぞれ相当に異なります。
 なので、「自分基準」を大切にして選びましょう。お値段も、他人の持っている鋏よりも、安いか高いかなど気にすることはありません。必要だから、必要を満たすものを買う、ということがすべてだと思います。

◇参考までに、管理人自身の鋏遍歴

 人様の参考になるかどうか分かりませんが、管理人自身の「鋏歴」を書いてみます。

【いけばな超初心者時代】
 10歳で入門したときに、母が使っていた花鋏(一番安いお稽古用の鋏)をもらって使い始める。つまり、お古からのスタートだった。

【指導なしお免状時代】……指導可資格よりも前段階のお免状を持っていた頃
 高校生くらいに、「この鋏って、10歳の頃から同じやつだっけ」と気づき、それに気づいたら「ボロボロだ」ということにも気づく。でも、貧しいお小遣いを花鋏に使いたくないので、
「自分でお金を稼げるようになるまで、これで我慢しよう」
と思っていた。

【師範免状(指導可の免状)取りたて時代】
 師範免状を取り、OLにもなり、はじめて自分のお金でいけばな鋏を買った。鋏は高けりゃ良いってものじゃないとも気づいていたので、とりあえず、「初心者用よりも1〜2ランク上な感じ」程度の鋏を、華道具屋で買った。(多分、5,000円くらい)

【花屋バイト時代】
 OLをやめ、花屋にとらば〜ゆし、最初の店で、坂源のハンドクリエーションという、圧倒的に使い勝手の良い鋏に出会い、花屋ではハンドクリエーション、いけばな教室ではいけばな鋏を使う、二頭立て体制にシフト。

【生けこみ人時代】
 花屋のバイトさんというよりも、下請けの生けこみ職人と言ったほうが良い働き方になり、気がついたら花屋でもいけばな教室でも、どっちもメイン鋏はハンドクリエーションになっていた。

【生けこみ人になって数年たった頃】
 町を歩いていて、菊一文字のショーウィンドーの美に釘付けになり、菊一文字の花鋏をゲットすることを決め、その翌年に菊一文字ユーザーとなる。
 店舗で何丁か鋏を持ちくらべ、自分の望む「重さ・刃の長さ・材質・値段」を満たすものに決めた。(たしか、12,000円か13,000円)
 この鋏は、大事なときに、大事に使おうと思っているので(普段のメインはハンドクリエーション)、ちゃんとしたところでメンテナンスすれば死ぬまでこれで持つだろうと計算している。新しいいけばな鋏をこれから買うという気持ちはもう持っていない。(今ココ!)


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