◆花の「子ども教室」について

 いけばなや、フラワーアレンジメントなどの花の教室には、子ども教室もあります。(キッズ教室とか、ジュニアクラスとか、色々な呼び方があります)
 なぜか、花の教室のジャンルでは、いけばなの世界が、子ども教室の運営に熱心です。

 実は、管理人自身、10歳のときからいけばなを習っていますので、「子どもから」やってます。そして、現在では、同年代の仲間に、子どもさんを花教室に通わせる親が何人もいます。

 この記事では、自分が実際に子ども時代に習って経験したことや感じたこと、今になってからこそ言えることを書いてみます。

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◇私は、自分から花の教室に行きたがったわけじゃない

 人に話すと「意外」と言われることが多いのですが、私は、自ら望んでいけばな教室に通ったわけではありません。いけばな教室に通っていた母が、パートを始めて通えなくなり、でも教室を「やめます」と言うのが心苦しかったようで、娘にバトンタッチで通わせることにしたのです。

 もちろん私が、
「行ってもいいよ」
と言ったからバトンタッチになったわけで、決して嫌々行ったものではありません。しかし、通い始めた最初の頃は、いけばなにほとんど興味はありませんでした。ただ、「イヤではなかった」というだけのことです。

 その私が、なぜ30年以上もいけばなを続けることになったのか、自分でもよく分かりません。いまだに、「合ってたのかどうか」も分からないのです。でも多分、私は死ぬまでいけばなと付き合い続けると思います。もう、分かれることはできないものになってしまいました。

 私の通ったいけばな教室には、私よりも年下の子が二人いました。今思えば、随分子どもクラスが充実した教場でした。
 ピアノや水泳と比べると、小学生からいけばな教室に通う子ども人口は非常に少ないものです。でも、当時の私はそんなことは知りませんので、小学生の自分がいけばなを習っていることを、きわめて普通の習い事だと思っていました。

◇同じ教室の大人に、「なめられている」と思っていた!

 私の通った稽古場には、もちろん大人のお弟子さんたちがいました。そういう、大人の姉弟子たちは、私たち子供がいると、お愛想で誉めてくれるものなんです。

「子どもの感覚にはかなわないわ」とか、
「頭の柔軟性が違うわよねえ」とか、
 大人は言ってくれるのですが、私はこれがイヤでイヤでたまりませんでしたね(向こうは、優しさで言ってるんですけどね)。まず、大人のいけばなと、子どものいけばなを分けて見られるところがもうイヤです。
 私は、「大人のいけばな感覚」と「子どものいけばな感覚」で比較されるよりも、「あなたのいけばな感覚」と「私のいけばな感覚」を比較されることを望みました。そして、ちゃんと比較してもらったら、大人の感覚に敗れたってかまわなかったんです。それを、あっちから「子どもの不戦勝」みたいに言ってくるところが、なんとも卑怯に感じました。

 ちゃんと、いけばなの話をしようじゃないか。
 作品を見て、「いけばなの話が分かっていない子どもだ」と判断したのなら、それをこそ作品の上で批評するべきだ。

 「子どもだから」というだけの批評は、不当だ。誉められたって、それは不当なのだと、ずっと思っていました。
 頑張ったこと、稚拙ながらも、何かと取っ組んで葛藤したこと、伝えたいものを探って迷った過程、誉められることより、そういうものが大事でした。これは、10歳の子としては普通の感覚だと思います。

 もしも、教室の先生が、上記のような姉弟子たちの「子ども誉め」に加担したとしたら、私はすぐに教室を見限ったと思います。しかし、そうではなかったので、私はその教室に10年通いました。
 夢中になったときの子どもは、侮ってはいけませんね。大人が本気で言っていないことなど、すぐに見抜きますよ。
 見抜くに決まってますよね、子どもの側は本気なんですから。

◇何歳から始めたかったか

 私は、実際には10歳で始めましたが、今思っていることは、「3歳からやってみたらよかったな」ということですね。
 なぜ3歳なのかと言えば、「2歳じゃ鋏は無理だろう」と思うからです。要するに、「可能な限り早く始めてみたら面白かったかな」と私は思っているのです。

 もちろん、本当に3歳から始めていたら、途中でイヤになってやめてしまった可能性も高いのだろうと思います。だから、「できる限り早く始めるのが良い」とも思っているわけではありません。
 ぶっちゃけ、いけばなは、何歳から始めてもいい部類の習い事なんだろうと思います。

 聞くところによれば、バレエとか、ピアノのような習い事は、3歳くらいで始めた子と、8歳くらいで始めた子の間に、やっぱり差が付くのだそうです。
「彼女は3歳からやってるんですって」
「そうでしょうね、別物だものね」
ってことになるんだそうです。
 花の世界では、私はこういう感覚は持ったことがありません。うまい人だと思ったら、子どもの頃からやってた、というパターンは、私の周りではゼロです(私の周り、ずいぶん居ますけどゼロです)。

 大体、私が「10歳からやってます」と言うと、みんな「えー、すごいねー」と驚きますので、10歳で始めるのは「結構早い」のです。
 10歳から始めて、自分的によかったと思うことは、

  • すごく年の離れた先輩と、「ずいぶん前に、こういう生け方が流行ったよね」とかいう会話ができる
  • 30歳の段階で、すでに「20年のキャリア」と名乗れた
……このくらいですかね。

◇10歳で始めて、イヤだったのか

 もっと遅く始めたらよかったとか、10歳で始めなければよかったとか、私は思ったことありませんねえ。
 自分は、あの出会いで幸運だったのだろうと思います。

 ただし、10歳で始めることが、誰にとっても幸運かどうかはわかりません。花をいじること自体が嫌いで無い子は、多分早く始めても嫌いにならない子が多いんじゃないかなあ、くらいの推測しかできません。

◇すべては、「嫌いじゃなかった」から言える結果論

 要するに、私は偶然にも花を好きになったので、10歳からやっても嫌いにならなかったし、「3歳からでもよかった」とか言えるし、「花とはもう分かれられない」とも言えるのです。
 これは、最初には予想されなかった未来でして、私も親も、「こういう道にきっと進むだろう」とは思ってもいませんでした。
 私が、超花好きの子どもだったら、もしかしたら逆にこうはならなかったのかもしれません。思いの大きさに自分で疲れて、中学生くらいで花をやめてしまったかもな……などと思うことがあります。

 どんな子どもが、何歳から花の教室に通ったらいいのかどうかなど、決められるものではないのだと思います。ただ、ここに「小学生からやって、結果的に幸せでした」と思っているやつがいますので、小さい子供さんを花の教室に通わせることは、決して悪いことではないとは言えます。

 性格的な面では、花の教室で、私が最も伸ばして貰ったのは、「探究心」だったと思っています。作法や、細やかさ、花を愛する優しさよりも、それは大きく私の中に芽生えました。私は「探究心」でしたが、別の子供は、きっと別の何かを見つけるのでしょう。
 だから、「フラワーアレンジメント→華やかでセンスがいい子どもになる」「いけばな→おしとやかで、情緒の分かる子どもになる」とか、そういう安易なものを期待するのは、きっと何か違うんだろうな、と思います。

◇子ども教室を探すなら……



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