◆虹色スミレを知っていますか〈その1〉

 虹色スミレという、かわいらしい名前のパンジーをご存知ですか。下の画像にあるように、花の中央から外側にかけて、繊細な淡い色合いのグラデーションが美しい、パンジーの中では高級な品種です。
 このコラムでは、虹色スミレの品質、特徴、ちょっと変わった名前の由来と発売のプロセスなどを解説いたします。

虹色スミレ

スポンサーリンク

◇サカタのタネと、タカラのコラボレート

 虹色スミレという、なんともかわいらしい名前のパンジーが、ガーデナーたちの人気を集めています。(2004年10月19日発売)
 この新品種のパンジー、なんと、サカタのタネと、リカちゃん人形で有名なおもちゃメーカー:タカラ(現タカラトミー)のコラボレート商品として発売されました。なかなかに面白い企業同士の組み合わせです。
「サカタのタネは分かるが、タカラは一体、種苗商品に何を提供したのか?」というと、実は、キャラクター提供なのです。なんと、虹色スミレは、専属キャラクターつき品種なのです。しかも、キャラクターを勤めるのは、タカラの看板娘:リカちゃんであります。

 店頭で、虹色スミレかどうかを見分けるのは、実に簡単。リカちゃんの写真の入ったラベルが付いていますから、絶対にほかの品種とは間違いません。お店によっては、「リカちゃんスミレ」「リカちゃんパンジー」などの表記も掲げています。このような売り出し方は、今までに無かったもので、今のところ、話題性は十分といえます。

 このユニークな企画がどのようなプロセスで進んだか、一切発表されていないので分かりません。(サカタ&タカラの社内でも、極秘扱いのプロジェクトだったそうで、情報収集が妙に難しいんですよ。普通は、裏の裏話くらい入るんだけどねえ)なので、これは私の想像ですが、サカタのタネからタカラに、「今回非常に甘く可憐なパンジーの品種を開発したので、リカちゃんをキャラクターに起用させてもらえないか」と打診したのではないでしょうか。
 だって、逆のパターンって考えにくいですものね。タカラが、「うちのリカちゃんをテーマに植物苗の開発してください」なんて、言うとは思えません。また、サカタのタネが今までになくかわいらしいパンジーを開発したらしいと耳にしたタカラが、「じゃあ、それにうちがキャラクターを」とも言い出さないでしょう。(サカタのタネの開発をタカラが耳に入れること自体が無いでしょうな)

 しかし、逆の思考は非常によくあるパターンなのです。皆さんは、バラや蘭の品種に「モンロー」とか、「プリンセス・ダイアナ」とか、「カルメン」のような固有名詞がついているものを見たことがあるのではないでしょうか。これは、生産側が植物の出来上がりの姿を見て、そのイメージにふさわしいキャラクターを設定しているのです。
 ただ、普通はなんとなく名前をもらうだけで、それ以上の発展はありません。

 今回のコラボレートの珍しさは、花の一品種と、人気の安定した別業界の商品が、かなり本気でタイアップした ところにあります。お人形の名前を付けた新開発種の発売など、おそらく世界的にも例が無いのではないでしょうか。(鉢物の仕入れに行った花屋さんに聞きましたが、虹色スミレのコーナーには、どどーんとリカちゃんのポスターが貼ってあるんだそうで、こんな光景も珍しいねえ、とのことでした)
 成功すれば、非常に稀な売り出し方として、種苗業界の歴史にも残るものとなるでしょう。

◇8色のリカちゃん

 虹色スミレは、今のところ全8色。(今後増えることが考えられます) サカタのタネでは、今までに無い光のスペクトルのような花色という表現を前面に打ち出しています。
 私の見たところ、確かに透明感のある色合いで、中心が薄く、周りにいくほど濃くなり、非常に繊細で可憐な印象を受けます。少女マンガ的とでもいいましょうか。うん、なるほどリカちゃんですな。
 すべての色を紹介すると、


スイートハートリカ

ロイヤルブルーリカ

ノーブルリカ

エンゼルピンク


ラブリームーンリカ

メープルリカ

ブリリアントリカ

ムーンライト

 以上です。どうも、リカちゃんらしさを一番感じるのは、やはりピンクですね。ピンクはリカちゃんのイメージカラーでもあるのだそうです。パンジーという花は、本来青の色素の花というイメージが強く、紫系統の人気が高い(並んで、黄色系統の人気が高い。色の明るさのせいでしょう)のですが、虹色スミレシリーズは、発売元がピンクを一番にプッシュしている気配があります。
 実際に、一般店舗でも、ネット通販でも、明らかにスイートハートリカから売り切れ始めています。
 パンジーに、ピンク時代到来か!?

◇虹色スミレの性質は?

 パンジーは、元々人気の高い花です。
 開花時期が長く、値段も安価。そして何より、非常に愛らしい。花壇の縁などに植えるのにも適していて、一度に10個や20個まとめ買いする人などはザラです。(コンテナごと買う人もいるくらいです)素人に嬉しいのは、育てるのに大して技術を必要としないことです。大変に丈夫な花で、冬季、少しくらい地面が凍っても大丈夫なのですから。
 虹色スミレは、この辺の長所をちゃんと備えているのでしょうか?

 虹色スミレの性質についてサカタのタネが公開しているところによると、秋咲きで、日本の風土に適した、家庭でも育てやすいパンジーということです。
 気温の変化により、花つき、花色に多少の変化があり、気温が低く、日照時間がすくない時期には咲きが抑えられる傾向がある、とのことです。お日様には、十分あてる必要があるようですね。肥料も、一般のパンジーより、多めにやるのが良いようです。

 実物で確認しましたが、香りは、ごくごく淡いです。
 あちこちの店舗で実物を見て気になったことは、これはもう仕方ないのだけど、値段はどこでもほぼ同じなのに、株の状態が結構違うぞ、おい!という現象が見られます。
 これは、明らかに生産者の腕の違いでしょう。苗の販売は、種の発売元から、全国にある複数の生産者に種が渡され、各農園が育てて花市場を通じ、花屋さんに届く、というシステムになります。(生産者から、直で仕入れる花屋さんもあります)つまり、ヘタヘタ農園より出荷の品物と、上出来農園より出荷の品物では、同品種でもグレードが違うのです。(実物を見られないネット通販による苗の販売の最大のネックはこれなんでさ)まあね、ちょっとやそっとの違いは仕方ないとあきらめるけど、この虹色スミレ、下にも書きますが、値段が少々高めなんですよ。だから、買ってから、別の店舗で、同じ値段でもっと元気な子を売ってるのを見ちゃったら、くやしいでしょ? 何店舗かをまわって、一番良い株を置いている花屋さんから購入されることをお勧めします。

 さて、この虹色スミレ、ハンギングにしても様になります。花茎が少し長めなのです。
 花そのものの姿はどうかと言うと、花の顔は少し小さいですね。発売元が「パンジーです!」と断言しているのでなかったら、大きいビオラだと思うようなサイズです。
 虹色スミレは、2004年の発売当初には、全5色の発売でした。上の6種の中の、ラブリームーンリカは、発売時にはまだ存在していませんで、この花色は2006年に新たに発表されたものです。

虹色スミレを知っていますか〈その2〉へ続く



Copyright(C)2004.09.15-. 花の情報局.All Rights Reserved.