◆花屋開業のための情報を集めてみました

 最初に断っておきますが、私は花屋を開業したことはありません。また、花屋開業のために、専門家に相談したことなどもありません。
 私が、開業にもっとも近づいたのは、まだ30代だったころに、「店をたたむので、居ぬきで花屋をやる気は無いか」と言われたときでした。このときは、私としては本気でリアルに考えました。しかし、いくら借金しなければならないかを考えたときに、現実的ではないと判断し、「花屋の下請け&花の先生」という職を続けることを選択しました。この選択は、妥当な判断だったと思っています。
 元々、私の人生の夢と言えるものは、「花の先生オンリーで食っていく」ことですので、「花屋になる」ことは夢ではありません。
 なので、「花屋になる」が、私の唯一の夢であったなら、大きな借金をしてでも花屋になるという選択をしたかもしれません。

 ……というように、花屋開業について考えた時期があることと、花屋の経営者が何人も身近にいたために、私には、少しですが「花屋開業のための知識」があります。また、この業界に居て、「開業するときにはこれこれだ」という話を長年聞いてきて知っていることや、開業したけど短い期間で店をたたんでしまった人を何人か見たことで、個人的に思っていることなどもあります。

 そのような、私が持っている範囲の花屋開業のための知識を、この記事にまとめておきます。
 何も分からないけど、花屋開業ってどういうことなのか知りたいな……と思っておられるかたは、参考になさってください。
 超リアルに、花屋開業に向かって動き出している方には、すべて今更な知識かと思われます。逆に、リアルに「開業のために現職をやめる段取り」などしている方で、この記事を読んで「こういうものか」と感心している方がおられたら、その方は開業をやめたほうがいいと思いますよ。そんな認識の甘さでは、多分、一年もたずに閉店に追い込まれると予言します。

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◆個人商店・個人事業主ってどういうことなのか、少しは知っておかなければならない

 「花屋」に限定せず、「個人商店」「個人事業主」というものについての知識を持っておきましょう。
 家族の中に商売をやっている人がいると、この点は割りと簡単に「肌で知る」ことができたりします。商売している家族に、色々質問したり、別ジャンルの店であっても、店頭で接客のバイトさせてもらったり、店がしまった後に店主は何をしているのかなどを身近で見せてもらい、「個人で商売することのなんたるか」を、少しでも感じ取っておいてください。

 勤め人一家に育ってしまった人(私もそうです)など、身近にサンプルが無い人は、個人事業主に関連する書籍 など読んでみてください。もしも、自分は個人事業主関連の知識ゼロだ、と思うなら、2冊以上読んだほうがいいかもしれません。

◆花屋業務は経験しておくべき

 バイトでも良いので、花屋業務は必ず経験しておきましょう
 花屋養成スクールに通って花屋さんになろうとする人も、独自に花屋で働いた経験を持っておいたほうが良いです(スクールに、花屋の現場を経験できるようなカリキュラムがあると思いますけど)。

 花屋で修行するときには、できるかぎりその店のノウハウをゲットしましょう。新入りバイトに教えてもらえることに限りがあっても、アンテナ張りまくって、色々な知識を盗みましょう。

フロムエーナビ 「花屋」
タウンワーク 「生花」
バイトル 花屋

◆花屋養成スクールに行くなら……

 私は、花屋バイトをするなら、花屋養成スクールに行かなくても別にいいかな……と思いますが、もしも行くなら、すべての仕事の基礎をきっちり身に着けてください。また、スクールに行きながら、花屋バイトができるならしたほうが良いです(「学び」と「実践」は、必ずしもかみ合わないので、知識や考え方が混乱する場合もあるのですが……)。スクールよりも、花屋バイトのほうが、得られるものは大きいくらいでしょう。

 スクールに、開業のバックアップをしてくれるシステムがあったら、何をどこまで面倒見てくれるのか確認し、自分に有益と思うものは活用しましょう。また、実際にスクールのバックアップで開業した人がいると思いますので、その人たちが現在どのように店を経営しているのかリサーチしてみるのも良いと思います。

ケイコとマナブ フローリストコース
リクナビ進学
なるには進学サイト

◆自分の店について、このくらいは考えておこう

 実際には開業しなかった私でも、「少なくともこれくらいは必要」と思える、事前に考えておくべき項目を挙げてみます。

  • 店の立地(駅からの距離、アクセス、周辺環境、通行量、店舗の規模、競合店)……競合店には一度入ってみたら良いと思います
  • 販売の方針・特色(ターゲットは誰か? 主力商品は? 値段帯は? 固定客をどう確保する?)
  • 一日の収入・集客のシミュレーション
  • 一年を通じての収入・集客のシミュレーション
  • 必要設備
  • 返済計画

参考:独立・開業・起業のサポート情報の検索・資料請求サイト「アントレnet」

◆フランチャイズ加盟はどうする?

 チェーン店展開している花屋の加盟店になって営業していく道もあります。
 フランチャイズ加盟は、メリットだけではないので、加盟するなら慎重に検討してください

 メリットとしては、大元の会社のブランドイメージに乗っかれるとか、本部から指導してもらえる、仕入れ確保してもらえる場合がある、などです。
 もちろんデメリットもあります。加盟店を脱退した人が全員言うデメリットは、ロイヤリティの支払いがイタイ、店に自分の独自色を出せない、ということです。

 開業時の滑り出しだけフランチャイズ加盟して、ある程度安定したら脱退し、自分の好きなように切り回していくという作戦はどうだろう……と思ったら、契約によっては、脱退すると高額な解除料を払わねばならないこともあるそうです。将来的に後悔しない決断をする必要があります。

◆共同経営は、私はお勧めしません

 仲の良い友達どうし、同じ夢を持った仲間どうしが出資して、一緒に店を持つ……とってもステキな気がします。すごくステキに感じるので、フィクションの世界では、こういうお店がよく登場します。
 しかし、私はお勧めしません。共同経営で、もめなかった例を知らないからです。
 もちろん、世間には、うまくやっている人たちもいるのでしょうが、それでも、揉める確率のほうが圧倒的に高いと思います。

 こんなに仲の良い二人だから……この人と一緒に達成してこそ嬉しい夢だから……と思っても、経営的数字の話になると、儲ければ儲けたで、儲からなければ儲からないで揉めはじめるのです。そして、他人から見て、かなり残念な感じで袂を分かっていきます。
 あれを見たら、到底「ぜひやれ」とは言えません。

◆お金は、やっぱり必要

 店を開くにあたっては、やっぱりお金は必要です。どのくらい必要かというと……一般的に、花屋を開くには、400万〜1000万円必要、と言われているそうです。
 私には、店の立地・広さ・その他条件によっては、400万より下でもイケるんじゃないかとも思えるのですが、それは「うまいこと安く済めば」であって、あくまでも一般的に言うと、400万〜だといわれれば、「それもそうかな」と思います。

 どっちにしろ、自己資金ゼロでは無理です。(自己資金ゼロで、開業をリアルに考えているような人はいないと思いますけど)借りればいいじゃんと言っても、資金ゼロの人では融資も受けられません。

 仮に、400万円必要だとすると、少なくとも150万円くらいは自己資金で用意しなくてはならないと思います。(つまり、残り250万円は借りられるとして成り立っている計算です)

◆融資は、こんなところから受けられる

 事業資金の融資は、下記のようなところから受けられます。
  1. 日本政策金融公庫
  2. 地方自治体の制度融資(その他、補助金・助成金なども活用できる場合アリ)
  3. 銀行
  4. 信用金庫

 融資には、担保が必要なものも、無担保でよいものもあります。
 上記リストの中で、一番現実的なものは、やはり12でしょう。自分はどんな融資を受けるのがふさわしいのか、地元の商工会議所に相談してみても良いと思います。場所によって対応が異なるようですが、超親身になってくれるところもあるようです。また、有料のコンサルタントを頼むなら、もちろん相談に乗ってくれます。

 銀行と信金の審査を突破するのは、難しいときには結構難しいです(各人の状況により、難しさは異なります)。
 それに比べると、日本政策金融公庫は、審査も緩やかで金利も安いです。日本政策金融公庫には、様々な融資があります(参考:日本政策金融公庫 融資一覧)。

 融資が降りるのは、大体審査後2〜3ヵ月後くらいになります。日本政策金融公庫なら、1ヶ月くらいで降りるようです。このくらいの時間がかかることを計算に入れて動き出しましょう。

◆融資を受けるには、審査が必要

 公的な融資にしろ、金融機関の融資にしろ、審査を突破する必要があります。もちろん、世の中には、細かいことを聞かずに速やかにお金を貸してくれる業者もあります。しかし、「細かいこと聞かない業者」は、金利が高いはずです。中には、「常軌を逸して高い」ところもあるはずです。
 基本的には、開業の資金は、「細かいこと聞かない系」から借りるのはコワいとお考えください。

 コワくないところの融資は、事業計画書の提出と、面接による審査が必要になります。キャッシング感覚で借りることはできません。
 また、借りたお金の返済は、絶対に滞らせてはダメです。きちんきちんと支払って、融資側から「優良」の評価を得ると、後々融資が必要になったときに受けやすくなります。

◆事業計画書をちゃんと書けない人は、お金を貸してもらえない

 事業計画書は、本気で書こうとすると超めんどくさいシロモノです。しかし、これを書く「根気・ガッツ・整理された思考」が無い人は、お金を貸してはもらえません。漠然と抱いている「私の店」のイメージを、文字化・数字化させる努力が必要です。

 事業計画書は、
  • 何をそろえるために、いくらかかるのか
  • どのような事業を展開していくのか
  • 日々いくらのお金が出て行き、いくら回収できるのか
  • 商売を、どのように軌道に乗せていくのか
  • 返済計画をどのように考えているか
 などを、リアリズムを追求して作成します。融資元の指定書式があればそれを使いますし、そうでなければ自分でエクセルなど操って作成します。
 事業計画は、詳しければ詳しいほどよく、つけられる資料は全部つけましょう。

 作成する上で重要なのは、
  • 全体を貫く一貫性があり、矛盾が無いこと
  • お金の動きを、とにかく具体的に書く
  • 販売ターゲットを、とにかく具体的に書く
  • 書類内の数字は、すべて根拠を示せるくらいの精度にしておく
  • リスクから目を背けないで書く
  • 受けた融資の使い道と、返し方を明確に書く
などのことかと思います。

 上記のようなことを踏まえて、具体的かつ現実的なキャッシュフローなど書き込んでいくのはなかなかの大仕事ですが、審査側の鋭い突込みをかわしていくには、このめんどくさいものを本気で書かねばなりません。
 融資側は、「こいつ、本当に貸したお金返せるの? 不安要素があったら貸したくないんですけど」と思って審査するので、ちょちょっとごまかせると思ってはいけません。
 敵はマジだし、経験値豊富です。初めて開業しようとする人は、何もかも手探りですが、審査側は、何件もの個人事業主と、日々バトルを繰り広げている人たちです。矛盾や、甘い考えが書類に表れていたら、その部分に総攻撃を食らうと思いましょう。

 厳しく言われても、結局融資はしてくれるでしょ、金利欲しいんでしょ、などと思ってはいけません。「今回のご融資は残念ながら」と言われるのは、珍しいことではありません。

 審査を通りやすい事業計画書を書くために、有料のコンサルタントに相談する人もいます。コンサルタントが事業計画書をバシっと書いてくれるサービスもあります。専門家に書類を作らせたら、万単位のお金がかかると思いますが、それでもいいと思う方は、コンサル導入を検討してみましょう。

 自力でよい事業計画書を書くなら、まずはぐぐってみる→事業計画書 書き方
 書籍を参考にする→書籍「事業計画書 書き方」
 有料・無料のセミナーを探してみる
 商工会議所で、書き方の相談をしてみる、
などなど、色々と情報収集しましょう。

◆事業計画書が不要な人も……

 親や親戚から融資を受けられる方、自己資金ですべてをまかなえる方など、特に融資の審査を受けることが無い人もいるかと思います。
 そういう方も、綿密な事業計画を、一度書いてみたらいいのではないでしょうか。漠然と抱いている夢のようなもの、多分うまくいくだろうという希望的観測、それだけで走り出してしまうのはキケンすぎます。胸の中にある「こんな感じにしたい」というイメージを、文字と数字に起こしてみるのは、無駄ではないと思います。

◆開業時に必要な経費は……

 今、私が思いつく順番で、開業時に必要と思われる費用を書き出してみます。

  • 店舗取得費用(家賃、保証金、不動産取得費用etc)
  • 内装工事費
  • 車両購入費用
  • 設備費(空調、什器、電話・FAX、PC)
  • 資材(備品、消耗品)
  • 人件費
  • 仕入れ費用
  • 光熱費

 これらは、最低限私が思いついたものです。ほかにも、色々あるはずです。

◆キーパーは、必須アイテムではない

 キーパーとは、ほとんどの花屋さんにある、冷蔵ショーケースのことです。キーパーの有る店だけ経験した人は、キーパー無しなど考えられないと言うかも知れません。
 ところが、キーパー無しの花屋というものは、思いのほかたくさんあります。私が最初に修行した花屋は、ポリシーを持った「キーパー無し花屋」でした。

 キーパー無しの花屋は、ほとんどが「無くてできる状況にあるので、持つ理由が無い」という考え方です。お金なくて買えないので、という理由でそうしている店は無いと思います。
 なので、キーパーを持たないという選択は、大いにアリです。ただし、キーパーを導入しなくても大丈夫な店にする方法が分からないのであれば、導入したほうが良いでしょう。

◆利益計画は、都合の良いように飾らない

 利益計画は、売上高や将来的な目標利益の設定ですが、リアルに、具体的にを追求して作りましょう。
 高き目標を掲げるのは良いことですし、低い利益目標を掲げてどうする、とも言えますが、現実から遊離している利益計画は、やはり良いとは言えないと思います。特に、融資元を納得させるために書く利益計画ならば、「もっとも調子よくいった場合のことだけ」を書くのは不誠実です。
 具体的な数字を書き出し、紙の上でできる一番リアルなシミュレーションをしてみましょう。

◆開業時の、手続き的なもの

 花屋を開業するのに、特別な許認可申請も、資格取得も必要ありません。
 個人商店の場合、開業届けを税務署に出して、市場で仕入れた花を店に並べれば、すぐにでも花屋になれてしまいます。市場に入るのに、買出し人証を取得する必要がありますが、それは難しいことではありません。
※法人を立ち上げる場合の知識は持っておりません。ゴメンナサイ

◆現実を知れ!

 店頭販売の収入が、一日にどれくらあると予想していますか? その予想は、根拠の無い希望的観測ではないですか? 参考までに、私が経験した、一日の最低売り上げ金額のワースト記録をお教えしますと、「東京の某市、駅近くの花屋(駅の、賑わってない側でした)で、一日の売り上げ500円 客数1人」です。曜日とか天気とかは覚えてませんが、特別な日ではなかったと思います。ちなみに、店の売り上げ目標は、1日5万円でした。

 ワースト二番目は、「千葉市のはずれのほうの住宅地、わりと花屋の激戦区で、一日の売り上げ700円(仏束1つ) 客数1人」です。ある穏やかな月曜日でした。大量水揚げに夢中になっていて、夕方に水揚げが終了したときに、
「あれ? 今日お客さん一人しか来てないんじゃ」
と気づきました。

 こういう日は、現実にあります! そして、こういう「なぜかびっくりするほど売り上げが少ない日」と、「びっくりするほど売れた日」では、前者のほうが多く巡ってくると思います。
 新規開店なんて、最初の数日間、4桁の売り上げとか、ありえますよ。下手すると、3桁の売り上げだってありえるのですから。

◆こういうのを、「甘い考え」という

 フラワー教室に通い、こつこつと勉強を積み重ねてきた。かなり上の資格を持っていて、「とてもセンスがいい」という評価を受けている。花が好きなので、仕事はキツくても頑張っていけると思う。ガッツだけは、人に負けない……多いです。こういう花屋さん志望者。
 まず、フラワー教室と、花屋の現場は、全然違うものだと分かって言っているのかが問題です。ちゃんと分かっているならいいですが、私の見てきた人たちは、5割以上は、分かってなかったです。
 フラワー教室の「センスがいい」は、「売れる商品が作れる」とは違うこともあります(違わないこともあるんですよ。ここがややこしいところ)。お客さんに、センスを受け入れてもらえるかどうかは分かりません。
 このタイプの人で一番キケンなのは、フラワー教室の知識だけで戦っていけると思っている人です。花屋業界では、「フラワー教室に通った人」に、全然重きをおいていません。バイトの採用でさえ、あまり有利にはならないのです。本当に、そんなちっぽけで単純な武器で戦っていけると思っているなら、開業してから認識不足を思い知ることになるでしょう。(思い知ってからがホントの戦いだ。ガッツがあるなら負けるな!)

 また、私はこのサイトのゲスト様から、
「どんな花屋を開けば成功すると思いますか。私は失敗したくないです」
「花屋で食って生きたい。一番手っ取り早い方法を教えて」

という主旨の問い合わせメールをいただくことがあります。自分の思うところを文にして返信しますが、文脈などから、相当安易な思考をお持ちなのではないかと疑うことがあります。
 その問いかけの核心こそ、それぞれが葛藤して結論を導くべきものではないでしょうか。見知らぬ個人サイトの管理人に、手軽に結論を出させようとしているのであれば、それは、甘い考えだと思います。

※次の記事で、私が直に見聞きした、店を閉めた人たちのデータ もご参考に


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