◆花屋さんに向いている性格はあるのか?

 花屋さんに向いている性格などというものは、一体あるものなのか?
 私には、「有る!」と断定することはできません。しかし、今まで複数の店舗で、やめていく人、何年も続けていく人を、たくさん見てきた結果、「傾向めいたものが、有ることは有るな」と感じています。

 この記事では、管理人が、そのように個人的に感じていることを書いてみます。個人的に感じているレベルのことですので、それが正しいとも言いませんし、信じろとも言いません。
 「こういう人はダメだったな」「こういう人はキビシイ」という文も書いていますが、それがバッチリ自分に当てはまっているからといって、「花屋、諦めよう」と思う必要もありません。ご自分の思う道を進んでください。
 ただ、「こういう例もあった」のだということを、賢く参考にしていただければ幸いです。

スポンサーリンク

◇意外に、生粋の花好きさんが長続きしない

 これ、全国の花屋の店長が、「そうそう!」と言ってくれると思います。
 なぜだか知りませんが、本当の花好きさんで、「花屋さんになれて嬉しい。夢だったんです」と言うような人が、1ヶ月程度でやめていくパターンは非常に多いです。三日でやめちゃうようなことはあまりなくて、一ヶ月程度踏ん張って、でも「違う」とか「ダメだ」とか思うのか、やめていきますねえ。

 周りからは、「花屋さんが天職でしょう」と言われるような人が多いんですよ。
  • 自他共に認める花好き
  • 花のことは、触るのも見るのも好き
  • 花の本や雑誌もよく読み、イベントにもよく行く
  • 大変でも頑張って、仕事に役立つ勉強をしたい
……と、いうような人が多く、これだけ読むと、続けないほうがおかしいみたいに感じますが、実際には、そういう人がよくやめるんです。
 私は、このタイプではないので、どこで折れてしまうのか、良く分からないのですが……夢が大きすぎるんですかね?
 私は、今までこのタイプに山ほど会いましたが、ほぼ全員に共通するのは、
  • ポジティブな発言をしてくれるので、こちらもハッとして「頑張ろう」と思うようなことがよくある
  • そばで見ていて、「本当に花好きなんだなあ」と分かるので、気持ちがいい
  • 仕事もすごく意欲的に頑張ってくれる
  • ある日突然、やめたい意向を明らかにする
  • 明らかにした時点で、やめたい意向は固まっている
  • やめた後に、店に来てくれる人は稀
 こんな感じですね。
 そして、残った店の者たちに、「真面目な人だったなあ」と言われることが多いですねえ。

◇花の資格を、とても大事に思っている人はアブナイ

 たとえば、NFDの資格を持っていることを、面接の時点ですごくプッシュしてくる人なども、よくやめるように思います。やめた後になってから、「資格でなんとかなると思っているような人だった」とか言われているのを、何度も聞きました。
 実際に、「資格を持っていれば即戦力になれる、一目置かれる、当然私は花屋の能力も優れている」などと思い込むような甘ちゃんだったのであれば、やめて当然だと私も思います。
 花屋の現場で、資格はほとんど何も解決してくれません。ということを、すでにこちらのページ→ディプロマとは に書いていますが、資格を出すほうは「これであなたもプロです」みたいなことを言うので、このギャップは永遠に埋まらないような気がします。

 結局、資格だけをよりどころとしていると、「どうやら、資格は武器にならない」と悟ったときに、愕然とするということなのでしょうかね。これも、私には経験が無いので、心情を察することができません。(私は、花の免状があることは、面接では基本的に言わないで済ませようとします。ここでも書いています→花屋さんの面接はこんな感じ

(3)花屋はきれいなだけだと思っている人はアブナイ

 このような馬鹿な夢を持った人は、すごく幻滅した顔をしてやめていきます。
 馬鹿だと思いますけどね。
 花じゃなくたって、ほかの仕事だって、みんなそうじゃありませんか? 傍から良いところだけ見て、それが仕事のすべてだと思うなど、想像力がなさ過ぎる。あまつさえ、「花屋さんがこんなつらい仕事だとは思わなかった、夢をつぶされた」などと言って去るやつがいるのには、本当に驚かされます。

 恐らく、花屋さんも結構重労働なんだよ、ということを、まるっきり知らないわけでもないのだろうと思います。しかし、想像した範囲を、現実が超えていたのでしょうね。
 正直、花屋の仕事は、あるときはゴキブリと戦い、鼠とも戦い、酔っ払いとも戦います。路上で、テキ屋のお兄ちゃんとにらみ合いになったりもしますよ。
 上記の中でなら、私は「vsゴキブリ」が、一番イヤですね。ゴキブリが多数うごめいている深い壷の中から、黴の生えたオアシスをかきだすこととかありますからね。うはははははは(←笑うしかない)。

◇労働力を読み違えている人はアブナイ

 上の項と若干かぶるんですけど、思っていたより重労働なことに気付いて、逃げ出す人は多いです。
 「花屋さんも、力仕事なのよ」くらいの情報は、花屋になろうとする人なら得ているはずだと思うんです。しかし、重労働にもレベルがありますから、そのレベルの読みが違いすぎて、「これはダメだ」と思った人は逃げていくんでしょう。

 花屋さんは、店頭に女性が立っていることが多く、デパート花屋など、とくに優雅に商売しているように見えるでしょうが、水換えや水揚げ、それに付随する諸々の雑用は、力仕事が多く、筋肉が付いてノースリーブを着るのが恥ずかしくなるような人が多いのです。前にも書きましたが、私は標準より相当細い体格なのに、花屋1軒まかされていた時代には、腹筋が割れていました(割れている間は、誰にも言えない超シークレットだった!)。
 腹筋割れるくらいの仕事である、ということを、認識したときに「それは無い」と思う人は、やっぱりやめていくんだと思います。

◇稽古花・レッスン花に親しみすぎた人は、アブナイことがある

 私は、ばっちりこのタイプなのですが、それでも花屋業務だけが長く続いているので、全員そうだとは言いません。
 しかし、稽古花(いけばな、フラワーアレンジメントの区別なく)に親しみすぎた人は、どうも振る舞いが素人くさく、その素人くささから抜け出せない人は、「なんだか合わなかった」みたいな顔をしてやめていくケースがポツポツあります。
 習い事の花にどっぷり漬かった人は、花屋からすると、なにやら動きに合理性が無いことがあります。そして、手のスピードが圧倒的に遅い。遅いスピードが染みついているので、せっかく知識があって植物の扱いに慣れているのに、花に無知なバイト君の方が、さっさと仕事をこなしたりします。

 また、余計な自分のお稽古知識を「花屋の世界でも常識」と思い込み(ある程度は仕方ないことです)、しなくても良いことを勝手にやっていたりして、店からすると面倒くさいやつになってしまいます。いっそ、そんな空気が読めなきゃいいのに、賢く読めてしまった人は、「自分は、なんか合わない」と自覚してやめたりしますね。

 本当は、レッスンはレッスン、職場は職場で切り替えれば済むだけのことだと思います。しかし、これを乗り越えられない人は、結構な数で存在します。

◇花に思い入れが無い人が、意外に長続きする

 花は別に好きなわけじゃない、たまたま求人のチラシを見て、勤務時間がちょうどいいので希望しました、みたいな人が、「私、花屋さんなりたいの!」とキラキラしている人より長続きし、評価もされるケースは非常に多いです。
 私も、実際にそういう人を多く見ているので、「花が好きなのも考えものだな」とさえ思うようになりました。

 なんでこういう人の方が続くのかと考えると、業務として、クールにドライに色々割り切れる人の方が良いということなのかもしれません。

 世の中には、「職業に対する憧れや思い入れ」が、マイナスに作用する人が意外に多いのかもしれませんね。
 私は、看護学校の人に聞いたことがあるのですが、
「入院したことがあり、そのときの看護婦さんに感謝や憧れの念を持っている。私も、あの看護婦さんみたいに、病気の人の力になりたい」
というタイプの人が、真っ先にやめていくんですって(私は結構驚きました)。そういうタイプは、意外にどんどんやめて行き、卒業する頃には、とても少なくなるんだそうです。じゃあ、どういう人が生き残るのかと言えば、「無くなることは無い職だから志望した」という手堅いタイプが多いのだそうです。
 しかも、思い入れのあるタイプの人が耐えられなくてやめていくのは、実習のきつさに音を上げるのだそうですよ。似てますね! 花屋に憧れているタイプの人のやめ方に!

◇手抜きがデフォルトな人は、続けるのがつらいと思う

 何もかも、人よりちょっとずつ手抜きな人は、「ちゃんとやれ」「この水揚げやったの誰だ」とか毎日言われると、続けるのが厳しくなるかもしれません。
 花屋の場合、手抜きがばれるんですよ。仕事によっては、うまく賢く手抜きするのも才能のうち、ということがあると思うのですが、花屋はそうでないことがほとんどで、しかも発覚すると「仕事をする意欲が無いやつ」「危険すぎて、仕事を任せられない」と思われます。
 手抜きは、ほとんどの場合で店に不利益になりますので、取締りがゆるむことがあまりありません。
 なので、「真の手抜き人間」には、あまり向かないかもしれません。

 しかし、面白いもので、
「家の中のことは限りなくいい加減、前職の職場でもいい加減を指摘された。でも、なぜか花屋業務をきっちりやるのだけが苦にならない」
という人も存在するのです。自分をいい加減だと思っても、トライする前に諦めるべきではないように思います。

◇一番長続きするのは、辛抱強い人

 辛抱強い人が長続きする、という事実は、「それだけ辛抱強さを求められている職だ」ということなのかもしれません。
 汚れ仕事、力仕事を嫌がらず、疲れても態度を変えない強さのある人は、脱落していくことは少ないものです。
 私は、「花が好きだ」という思いが、この強さに通じるものだと昔は思っていたのですが(好きの一念で、何でもできるということもありますから)、どうも、色んな人を見ているとそうでもないのですね。

 現実には、辛抱強く体力がある人たちが、一番花屋業界を支えている人たちだと思います。
 「花を愛している甘ちゃん」よりも、「花にそれほど愛は無いけど、辛抱強くて体力十分」の人の方が、多分長続きすると思います。
 私が思うに、「愛」は職業には必須ではありません。(愛あってうまくいくなら、それが無敵だと思います!)
 ただし、「花が嫌いでゾッとする」人では困るように思います。また、職業的な興味さえも、花に対して持てないのであれば、それも大いに困るし、あまり発展性が無いのではないかと感じます。


Copyright(C)2004.09.15-. 花の情報局.All Rights Reserved.