◆ノバラの実生 その3

※前記事:ノバラの実生ノバラの実生:その2とあわせてお読みください。

◇初めての越冬

 育てていて、最初に不安だったのは、冬越に失敗するんじゃないかということでした。
 考えたら、その辺の空き地でも育つことができるノバラみたいなものに、「冬越に失敗して死ぬのではないか、死なないまでも、株が傷むのではないか」と心配することも無いはずなんです。もっともっと栽培が難しいバラだって、外で冬越しするのが当たり前なのですから、過保護すぎる考えだったのでしょう。しかし、元が切花から取った種なので、「まともに育つかどうか分からん」という思いがあったために、無駄に冬を怖がっていたのでした。

 でも、うちのノバラは、4株とも立派に冬を越え、次の年の春には新芽が芽吹いてきました。

 いっせいに芽が出てきたときには、新芽の色の美しさと、株全体に勢いがみなぎっているのを見て、「これはもしや、早くも開花が期待できるのではないか」と思いました。この期待がどうなったかと言うと……。

◇マンションの大規模修繕に、夢を砕かれてしまった

 開花の期待がどうなったかと言うと、思いも寄らぬ外部からの力で打ち砕かれてしまいました。うちのマンションの、大規模修繕が始まったのです。
 私は、大規模修繕というものは、ベランダの鉢をちょっと脇に寄せるくらいで済むと思い込んでいたのですが、なんと、ベランダのものを、一切合財撤去しないといけないのですね。当然、鉢物も屋内に入れることになります。
 うちのマンションの修繕期間は、4月から7月まででした。この期間に、バラを屋内に閉じ込めて過ごさせるのは、非常に酷なことです。
 4〜7月って、ガーデニング的には、一年で一番いい季節です。バラは、葉を茂らせ、株を充実させ、開花もさせる時期なのです。その時期に、ろくに陽にも当てずに屋内に入れておくのは、一年を棒に振るに等しいです。広い家で、「サンルームに入れればいいわよね」とか、優雅に言えるならいいでしょうが、わが家は狭いので、結局、玄関に置くことになりました。

↓こんな有様でした。

 今から思えば、思い切って強剪定してしまえばよかったのでしょうが、「どこまで切っちゃって大丈夫なのか」というような呼吸が、当時はまだつかめていなくて(今なら、相当思い切って剪定できます)、「とりあえず、すべてをそっと温存する」しかなかったのです。
 実質、2ヶ月くらいの間、この状態で育てましたが、陽があたるのが、午後のわずかな時間だけなので、日照が圧倒的に足りません。
 足りないのは分かってるけど、家の中のどこにも動かせないので、「死なないでくれ〜」と思いながら静観していました。

 日照が足りなくなったノバラは、葉をほとんど落とし、変なもやしっ子みたいなシュートが何本も出てきました。
 そして、驚くべきことには、いくつかつぼみを付けたのです!

 つぼみの発見は、大変に嬉しい驚きでしたが、私は、葉をどんどん落としていく株に、開花なんぞさせる力は無いと思い、「絶対にこのつぼみは落ちる」と思いました。
 そのつぼみ自体が、なにやら病的に白くて、見るからにヘロヘロな様子でして、しばらくしたら、やはり私の読み通りに茶色くなって落ちてしまいました。

 実は、大規模修繕の期間中に、ダメになった鉢物もあるのです。そのため、私は、最悪ノバラの全滅も覚悟していました。
 しかし、ほとんどの葉を落としながらも、ノバラ君たちは、枯死することはありませんでした。そして、やっとベランダに出すことができるようになると、恐ろしい勢いで復活を遂げました。ワイルドローズ、恐るべしです。

ノバラの実生 その4に続きます


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