◆花の流通について、大雑把に解説します

 花の流通について、基本的なことを解説してみようと思います。(ここでは、切花について解説します)
 細かいことを言い出すと、ここで解説する方法以外にも、花の出回る経路は色々あるのですが、基本は、下記のようになっていると考えていただいても大丈夫な記事になっています。

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◇花の流通経路を、超簡単に書いてみます

 花の流通を、一番簡単に書いてみますと、以下のようになります。

@種苗会社

A生産者

B花市場

(仲卸)

C花屋

D消費者


 普通の、花屋でお客さんが花を買う行為が、最後のC→Dの間の取引です。
 DがBに行って直接買っちゃうとか、DがAから直接買っちゃうということもありますが、一番一般的な花の流通が、上記のものです。(仲卸は、必ずしも経由しないので、カッコ書きにしました)

 最近は、輸入切花も多いので、輸入花のパターンも書いてみますと、下記のようになります。

@種苗会社

A外国の生産者

B輸入業者

C花市場

(仲卸)

D花屋

E消費者

◇簡単に、用語解説します

 上の項で書いた「経路」に出てくる名称を、簡単に用語解説しましょう。

●種苗会社
 文字通り、種や苗を作出する会社です。当サイトで、かつて紹介してきた種苗会社を挙げてみますと、
などがあります。花卉業界の流行は、種苗会社が仕掛けていることが多々あり、一企業の戦略が、花産業の歴史を変えることもあります。

●生産者
 切花の栽培・生産をしている、個人や企業です。家族だけでやっている農家の場合もあれば、広大な農場を持った企業の場合もあります。また、上記の「種苗会社」が生産者を兼ねていることもあります。

 生産者は、栽培した植物を、市場に出荷します(農協経由の場合もあり)。特殊な花材は、花屋が直接生産者から仕入れる場合もあります。
 野菜もそうだと思いますが、花の生産者には、「優秀な生産者」と、「優秀ではない生産者」があり、後者の中には「こんなものを出荷して、恥ずかしくないのか!」と思うような品物を出してくるところもあります。
 反対に、「優秀な生産者」には、業界の伝説になるような名品を生産するところがあり、バラの世界には「バラ名人」、ユリの世界には「ユリ名人」、アジサイの世界には「アジサイ名人」などと、称えられる人たちが存在します。

●花市場
 生産者から出荷された花を、花屋の仕入れが競りで買い入れする場のこと。大体、各都道府県に数箇所ずつ存在します。たとえば、東京都ならば、大田市場・足立市場・板橋市場などがあります。
 「競り」は、現在はほとんどが「競り上がり」ではなく「競り下がり」方式で値段決定されます。もちろん、一番高い値段をつけた人が、その品物を買うことが出来ます。

●仲卸
 市場の中で、「問屋」的な役割を持つ業者です。あまり大口仕入れの出来ない花屋は、競りには入らずに、主に仲卸から仕入れています。
★具体例を出しましょう★
 たとえば、「バラを、50本だけ欲しい」と思っている花屋があるとすると、その花屋は、一口200本とか300本で取引される「競り」に入ると、「50本しか欲しくないのに、200本買わないといけない」ことになります。到底200本は捌けない店であれば、競りに入ると、みすみす150本分の損が出ることになってしまいます。
 そんなときに、競りには入らずに、仲卸に行って、50本だけ買ってくるのです。この場合は、仲卸のつけた値段で買うことになります。(つまり、世の中のすべての花屋が「競り」に参加しているわけではないのです。)

 また、注文品で、特殊な花を小口仕入れしたいときなどに、仲卸に注文を出して仕入れることもあります。仲卸では、「こういう大きさで、枝つきはこんな感じ、一本で嵩を出せるほうがいい」などと、比較的細かい注文を聞いてくれます(細かい注文のすべてに応じられるとは限りませんが)。

●花屋
 市場の競りや、仲卸から仕入れた花を消費者に販売します。モノによっては、生産者と直接交渉で仕入れることもあります。
 また、花屋同士で、仕入れたものを融通しあうこともあり、「枝物を、お稽古3杯分だけ必要」みたいなときに、枝物を多く仕入れた花屋仲間に交渉して、分けてもらうような買い方もします。

◇アクティブな消費者は、市場とも、生産者とも取引する

 上に書いたものは、花屋が消費者に売るタイプの流通経路ですが、やる気のある消費者は、市場や花屋をすっ飛ばして、もっと直接的な取引で花を買うこともあります。
 たとえば、生産者の元に出向いて直接買ったり、自ら花市場に入って買ったりする方法です。(花市場で買う方法は、こちらのコラムでも書いています→レッスン用花材を仕入れる
 花でなくてもそうですが、品物は、色んなところを経由すればするほどに手間賃がかさんでいきますので、すっ飛ばせるものなら、色々すっ飛ばしてお安く買うのがよろしいと思います。

◇花の流通は、ある日突然に様変わりする可能性がある

 花の流通は、昔から何一つ変わらずに現在まで続いてきたわけではありません。
 花市場の整備や、競り方式の変化、法律の改正など、色々なものが現在も変わっていっているのです。
 特に、法律とか、政策に関わるものは、流通を大きく変える可能性があります。たとえば、国際的な何かの取り決めがなされて、ある日を境に輸入花市場が様変わりとか、政府が何かの規制を緩めたり、厳しくしたりする操作をした結果、花の業界地図が激変とか。
 状況が変われば、市場も取引方式も、その状況にふさわしく姿を変えるでしょう。現在の流通は、今だけのものだ、くらいの思いで見ていても良いのかもしれません。

 私は、昭和の50年代頃から花の流通をじーっと見てきましたが(50年代は、まだ子どもでしたけど)、法律整備のおかげで、輸入花の市場がどんどん充実していったことと、中央卸売市場の整備で、花の取引量が跳ね上がったこと、取引が大口化したことは、大きな変化だったと実感しています。
 競りのコンピューター化と、「競り下がり」がメジャーになったことも、そのたびに「へー」と驚いて見ていました。
 花を生ける者の立場から言うと、花市場の巨大化は、品物の個性を殺し、どんどん画一化へ進んできているように思え、その点には危機感を抱いています。
 花の流通が、どんなに変わってしまおうとかまわないと思いますが、消費者により多くの選択肢を示し、より喜びを多く与えることができる、「適正で豊かな流通」が守られればいいなと思います。


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